米国銃社会の狂気と闇を問う!


2018/2/24  ”時事評論”  
ー2月14日午後2時半(現地時間)、米フロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で銃乱射事件が起きた。教師と生徒17人が犠牲となり、40人が病院へ搬送された。その日は聖バレンタインデーだった。犯人は退学処分になった同校の元生徒、ニコラス・クルーズ容疑者(19)。  
 クルーズ容疑者は意図的に火災報知器を鳴らし、屋外に出た生徒たちに向け、軍用自動小銃を乱射した。その後、校内に入り、生徒たちを次々と殺害。通報を受け、特殊部隊(SWAT)隊員らと重装備の警察官らが救出のため学校に駆け付け、生徒たちを避難させた。
 クルーズ容疑者は校外に逃亡後、警察によって身柄を拘束された。同高校の銃乱射事件は、アメリカ史上9番目の惨事となった。 

       *       *       *   

ー2012年12月、コネチカット州の小学校で児童20人と教職員6人が殺害された銃乱射事件以降、米国内の学校で頻発する銃撃事件。2018年に入って、米国内の学校で起きた銃撃事件は既に18件。その背景には、市民の銃所有を認める合衆国憲法修正第2条と米国最強の圧力団体、全米ライフル協会(NRA)の存在がある。  
 事件後の16日、トランプ大統領は現地に入り、負傷者が収容された病院を訪問した。しかしNRAから3000万ドルの献金を受け取ったトランプ大統領は犠牲者の遺族とは会わず、銃規制改革にも消極的である。  
 同高校で起きた銃乱射事件を受け、事件の生存者の高校生たちが追悼集会で抗議する。NRAから政治献金を受けたトランプ大統領を始め何もしない政治家に向け、「恥を知れ!」と糾弾する。現在、全米で高まる銃規制の論議。しかし銃規制反対派は根本の銃規制の問題を銃撃犯の心の病、精神鑑定の問題として巧妙に摩り替える。  
 なぜ、19歳の未成年が軍用自動小銃AR-15を合法的に購入することが出来るのか!?米国銃社会の狂気と闇を象徴する今回の事件。これこそは、わが小説「アメリカ・アメリカ」のテーマでもある。私はこれからもアメリカを追及し、私は書き続ける! 

ー写真カットは、銃撃事件直後、現場から避難する高校生たちの様子を伝える現地CBSニュースの映像。You Tube動画より転載。
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平昌冬季五輪、開幕!


2018/2/13  ”2018平昌オリンピック”  
ー9日、韓国で平昌冬季五輪が開幕した。史上最多の92ヶ国の国と地域、2925人の各国の選手が参加する。 
 同日午後8時、屋根のないスタジアムで開会式が開催された。開催国の文在寅大統領、日本の安倍晋三首相、米国のマイク・ペンス副大統領、そして北朝鮮の金正恩委員長の妹、金与正が揃って出席。日本選手団は過去最大の124人の選手を派遣。開会式では、史上最多の8回出場の葛西紀明選手(45)を旗手に37人の日本チーム選手が参加した。7競技103種目で今月25日まで17日間にわたり、雪と氷上でのホットな戦いが繰り広げられる。  

       *       *       *  

ー開催前から開催が危ぶまれた平昌冬季五輪が遂に開幕した。平昌は、韓流ドラマ「冬のソナタ」(2002年)の主人公ペ・ヨンジュンで有名になったリゾート地スキー場。その平昌を観光地としてアピールするべく、李明博元大統領が五輪誘致に尽力し、開催を実現した。  
 地元開催国の文大統領としても、平昌五輪の成功は至上命題である。宿敵の安倍首相を開会式に招待し、入場式で統一旗を振り立てる南北合同チームを結成し、融和ムードを国内外に演出する。  
 現在、商業五輪と化したオリンピックの収入の大半は、各国のテレビの放映権料が占める。今回の平昌五輪では、全米3大ネットワークの一つ、NBCがアメリカ向けに独占放映する。文大統領と国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長のバックには、全米のマスコミを牛耳るNBCが控えている。  
 斜陽の韓国経済にとって、五輪開催後の人口5万人の平昌の経済復興が頭痛の種となる。極寒のスタジアムに屋根がないのは、五輪終了後に解体しやすくするため。ほとんどの施設は五輪後解体へ。それでも残った一部の施設は、年間維持費だけで大赤字!?
 今後の経済と外交において困難な舵取りを要求される文在寅政権の韓国。南北統一を演出しながら、平昌五輪を虎視眈々と政治利用する北朝鮮の金正恩。党内の反対派を押し切り、火中に栗を拾うべく敢えて開幕式に参加したわが安倍首相。  
 朝鮮半島有事前夜の今、平和とスポーツの祭典平昌五輪をめぐりもう一つの国際政治の熱い戦いが繰り広げられる。  

ー写真カットは、平昌冬季五輪の開幕式のイベントを実況中継する映像のワンシーン。You Tubeの動画映像より転載。 

地獄の黙示録 (3)


2018/2/8  ”名作映画”  
ー本作の後半シーンで、若き日の名優デニス・ホッパーが戦場カメラマン役で出演している。ジャングル奥地にあるカーツ大佐の王国に辿り着いたウィラードに首から何台もカメラをぶら下げたデニス・ホッパー演じるカメラマンの男が駆け寄って来る。映画の役の上だけかと思っていたが、多彩な才能を持つホッパーは写真家としても有名であることを後に私は知った。  
 1989年秋の頃だったか、デニス・ホッパーの写真展が京都の法然院で開催され、雨の中私は駆け付けた。境内と会場には大勢の観客が溢れ、モノクローム作品も含めた彼の写真作品はプロ並みの腕前であった。その前後、京都市内の名画館のステージに来日したデニス・ホッパー本人が4番目の妻の新婦と登場し、舞台挨拶を行った。舞台の両端から現われた二人は、京都のファンの前で小コントまで演じて魅せてくれた。「アイ・ラヴ・ユー!」と新妻のキャサリン。「アイ・ラヴ・ユー・トゥー!」と53歳のデニス・ホッパーが透かさず答える。  

 また話が脱線した(笑)本作ストーリーに戻る。ウィラード一行の旅は続く。2001年に公開された本作特別完全版では、劇場公開版(1980年)から削除された53分の未公開映像シーンが二箇所追加されている。  
 台風のため川沿いの基地に不時着したヘリの機内で3人のプレイメイトと愛情を交わす哨戒艇の3人の若い乗組員。前線の米兵の性欲処理係にされる彼女たちの告白と戦場の真実を彼らは知る。本場アメリカの「PLAYBOY 」のセンターグラビアに毎月登場するプレイメイト。日本流に言えば、グラビアアイドルか。でも3人共プロポーションは良いが、演技力は下手(笑)  
 もう一つは、フランス人入植者とウィラードが彼らと会席で交流するシーン。川沿いの農園では武装した兵士たちが土地を守り、フランス人農園主とその家族、使用人らが定住していた。そのフランス人入植者をして劇場公開版とは異なる強い口調でアメリカの欺瞞とベトナム戦争の功罪を痛烈に批判する場面が出て来る。  
 そして生き残った3人の一行は、遂にカンボジア領内のジャングル奥地に築かれたカーツ大佐の王国へ辿り着く。土着の原住民の如く半裸で前身を白く塗った傭兵らがカヌーに立ち、ウィラードたちを迎える。そのカヌー群団の中を突き進むウィラードの小型哨戒艇。川岸に着くと、首から何台ものカメラをぶら下げた報道写真家の男(デニス・ホッパー)が近付いて来る。そのカメラマンの男は王国の中を案内し、ウィラードに彼らの主、カーツ大佐と面会させる。  
 軍人として輝かしい数々の経歴を持つカーツ大佐と実際に会って、彼のカリスマ性に一瞬引かれるウィラード。カーツ暗殺を躊躇する程だったが、カーツ大佐によって尋問され、木の檻の中に監禁されてしまう。やがて拘束から開放され、体力も回復した頃、水牛が生贄にされる儀式のその夜、ウィラードはカーツ暗殺を決行する。音もなく背後から忍び寄り、警護の兵士を倒す。そして大鉈を手に王国の主、カーツ大佐を斬殺する。その映像はかくも美しいシルエットで象徴的に表現され、原住民によって大鉈で水牛が無残に斬殺されるシーンとオーバーラップされる。  
 主を失った王国の私兵と傭兵たち。その軍団の中をゆっくりと進むウィラード。まるでモーセの前で紅海が裂けるかのように彼を避ける群衆。ある一人の兵士の前で立ち止まり、前任者のコルビー大尉だと確認すると、ウィラードは彼の手を取り再び歩き始める。任務を終えたウィラードと3人の兵士を乗せた哨戒艇は、静かにカーツ大佐亡きジャングルの王国を去るのだった。  
 最後に、臨終の間際のカーツ大佐の言葉が木霊する。  
 「地獄だ!地獄の恐怖だ!」    
                    
             (了)   

ー写真カットは、水牛が生贄にされる祭りの夜、遂にカーツ大佐の暗殺を決行するウィラード。川面に浮かぶ特殊部隊要員と化したウィラードの本作シーンより。  

 

地獄の黙示録 (2)


2017/12/27  ”名作映画”  
ー本作のロケは米軍の協力が得られなかったため、フィリピンのジャングルで行われた。戦闘機やヘリコプターはフィリピン軍の協力に拠ったが、当時フィリピンは共産党ゲリラとの内戦や反乱があり、撮影スケジュールは度々乱れた。ロケ中、台風がフィリピンを直撃し、映画のセットがすべて崩壊したことも。キャスティングのトラブルもあり、映画の撮影期間も当初の17週間の予定が61週間に延びた。映画制作費も約35億円の予算が3倍近い約90億円に脹らんだ。出演者同士のトラブルや事故も続き、遂にコッポラ監督が心労で倒れる事態に。  
 本作品をフィリピンの密林で撮影中の1976年頃、疲れたコッポラは休養で日本へやって来た。六本木の馴染みのバーに来ては、「映画が撮れない!撮れない!」と嘆いていたと、村上龍がどこかで言っていたナ。  

 本作ストーリーに戻る。川を哨戒艇で北上するウィラードは戦争の狂気を目撃する。川でサーフィンをするためだけで、ワーグナーの名曲「ワルキューレの騎行」を大音量にして流しながら、ベトコン地区の村を米軍ヘリ部隊と爆撃機が次々と空爆を加える。家々は焼き尽くされ、無辜の女子供、村人たちが犠牲となる。爆撃直後の村に隊長機のヘリで降り立ったキルゴア中佐が部下の前で嘯く。
 「朝のナパーム弾は格別だ」  
 コッポラはこのシーンでアメリカによるベトナム戦争の狂気を暗喩する。本作のテーマは独白のスタイルを取るウィラード大尉の物語であり、同時にジャングルの奥地に自らの王国を築くカーツ大佐の物語でもある。その二つが縦糸と横糸の如く織りなす構成を持ち、巨匠コッポラによる神話的かつ叙事詩的映画の手法を取る。  
  ウィラードの旅は続く。小型哨戒艇内でドラッグに酔う若い米兵たち。川沿いの米軍基地の特設ステージではヘリから3人のカウガール姿のプレイメイトが降り立ち、熱狂する米兵たちの前でダンスを披露する。さらにウィラード一行が河を遡上すると、指揮官を失ったその基地では兵士たちだけが前線の基地でベトコンと戦っていた。  
 途中、川で民間人の船と遭遇。一行はその船を停め、積荷を検問するが、若い乗組員が敵のベトコン兵と見間違え船長の男を銃殺する。そして狂気が全員に伝わり、若い米兵らは女も含めたすべての船の乗員を機関銃で掃射してしまう。その後、ウィラードたちの哨戒艇も川岸から敵に攻撃され、何人かの乗組員を失うことに。  
 生き残ったウィラードと二人の部下の若い兵士は再び川を北上する旅を続け、遂にカーツ大佐が支配するジャングル奥地にある彼の王国へと向かうのだった・・・  

ー以下、第3弾へ続く。  

ー写真カットは、米軍基地の特設ステージで熱狂する米兵たちの前でカウボーイハットとカウガール姿でプレイメイトがダンスを披露する本作シーンより。   
 

地獄の黙示録 (1)


2017/11/24  ”名作映画”  
ーいよいよ晩秋も深まり、紅葉も色とりどりに色付き、芸術の秋に!本日、暫く中断していた名作映画シリーズを再開します。 
 取り上げる作品は、フランシス・コッポラ監督の名作「地獄の黙示録」(1980年日本公開)です。尚、今回の作品は、特別完全版(2001年公開、202分)のバージョンです。因みに本作は、皆さんお近くの某「ツタヤ」にてレンタル作品であります。   

 ファースト・シーンは、ドアーズのかくも美しい叙情的な「ジ・エンド」のBGMが流れる中、ベトナムのジャングルが米軍ヘリの攻撃により真紅に燃え盛る風景を思い返すウィラード大尉(マーティン・シーン)の回想シーンから始まる。  
 1970年のある日、ベトナムのサイゴンのホテルの一室で目覚めたウィラード。米陸軍将校でCIAの秘密作戦にも従事した経験を持つ彼は米陸軍将軍とCIAエージェントに呼び出され、元グリーンベレー隊長のカーツ大佐(マーロン・ブランド)の暗殺作戦を命じられる。  
 極秘任務を帯び、ウィラードは古代ギリシャの長編叙事詩「オデュッセイア」の主人公オデュッセウスの如く、ベトコンが潜むヌン川を小型哨戒艇で遡行する旅を開始する。乗組員は、実戦経験のない若い新米兵士ばかり。彼らはウィラードの任務も目的地も知らない。やがて一行の哨戒艇はベトコン地区へ。そこではキルゴア中佐(ロバート・デュヴァル)指揮する「空の第一騎兵隊」の米軍ヘリ部隊による空爆作戦が始まっていた・・・  

 以下、第2弾へ続く。  

ー写真カットは、川でサーフィンをするためだけでベトコンが潜む村をヘリ部隊で攻撃し、仕上げに川沿いのジャングルを爆撃機で空爆する本作作品中のシーン。  

 

プロフィール

二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

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