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シン・ゴジラ (3)


2018/12/12  ”名作映画”     
ーゴジラの東京破壊により首相と主要閣僚と政府機能を失った日本政府は、立川市の米軍基地に臨時政府を移転する。矢口蘭堂(長谷川博己)の巨災対も急遽オペレーションルームを同基地内に設置する。一方、ゴジラは東京駅で活動を停止。ゴジラ対策の匿名大臣に任命された矢口と生き残った巨災対のスタッフらは、再びゴジラ対策を検討する。   
 臨時総理大臣代理は里見祐介前農水大臣(平泉成)に。臨時内閣が組閣され、自衛隊による復興も始まる。ここでカヨコ・パターソン特使(石原さとみ)率いる米国調査団が矢口の巨災対に合流し、ゴジラ対策を進言する。その結果、進化し自己増殖を続けるゴジラに熱核攻撃を決定。米軍による核攻撃を国連安保理は容認し、日本はその管理下に置かれる。10日後に迫る米軍の熱核攻撃を避けるべく、360万人の東京都民は続々と都心から疎開する。  
 しかし東京での核兵器使用を阻止するべく、矢口は自衛隊の協力の下、ゴジラ凍結計画「ヤシオリ作戦」を決行する。放射能と被爆のリスクがある中、矢口は防毒マスクと白の防災服を身に纏い、自ら自衛隊員らと共に現場で陣頭指揮に立つ。  
 「『ヤシオリ作戦』開始!」と陸上自衛隊連隊長。  
 先ず爆弾を積んだ無人運転の新幹線を突入させ、ゴジラを覚醒させる。次に米軍の無人航空機による波状攻撃が、ゴジラが光線を出し尽くすまで続けられる。光線が途切れたゴジラの付近の高層ビルを爆破・倒壊させ、ゴジラを転倒させる。そこへコンクリートポンプ車隊が接近し、ポンプ車のアームからゴジラの口内に大量の血液凝固剤を流し込む。自衛隊の火力攻撃にも米軍爆撃機の空爆にも倒れなかった無敵のゴジラに列車とコンクリートポンプ車を使った凝固剤投与攻撃。これもどこかマンガ的ではあるが(笑)   
 かくして「ヤシオリ作戦」は見事に成功。血液凝固剤を経口投与されたゴジラは、東京駅で凍結したまま立ち尽くす。里見臨時内閣は責任を取り、総辞職する。新しい日本政府は一丸となって復興に向け邁進する。  
 ラストシーンは、立川基地の建物の屋上に立つ矢口とパターソン特使の二人が会話する場面。  
 「私が次期合衆国大統領になるまで、あなたも政治家を辞めないでね」とカヨコ・パターソン。「多くの犠牲者を出した以上、その責任を取るのが政治家の仕事だ」と答える矢口。  
 「だが今ここで止めるわけにはいかない」とパターソンが立ち去った後、矢口は一人呟くのだった。  
 そして最後にゴジラがアップになり、その尻尾の先端へ。するとそこには、背中が有翼化したヒト型の個体が10数体以上凝固していた・・・   

         (了)    

ー写真カットは、臨時政府の建物の屋上に立つ主人公、矢口蘭堂と遠方には凝固したゴジラ。その尻尾の先端で群集するヒト型個体の描写は、エヴァ・ファンに向けた庵野秀明監督のメッセージでもある。       
   
   
  
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シン・ゴジラ (2)


2018/12/8  ”名作映画”     
ー本作では328人もの人物が登場する。製作費カットのためか、会議室での人物アップシーンを多用。コマ割りとカット数が多く、台詞が早口で聞き取りにくい。随所に挿入されるテロップの説明が長過ぎる。人物描写が平板でマンガ的、登場人物の心理描写、役者の内面表現まで迫れず。得意のアニメ制作の手法をそのまま実写映画に押し込んだ庵野秀明監督。村上春樹も言っていたが、庵野秀明の「シン・ゴジラ」は芸術系大学出身者による自主製作映画のレベル。また今回、岡田斗司夫の「シン・ゴジラ」論の動画を一応チェックしたが、ハイテンションで「シン・ゴジラ」と監督庵野秀明について語るオタク評論家、岡田斗司夫に私は与することは出来なかった。   

 本作ストーリーに戻る。さらに進化し巨大化した第四形態のゴジラが鎌倉市に上陸。その後ゴジラはゆっくりと東京都内へ進行する。ゴジラの都内進入を阻止するため、大河内総理は自衛隊の出動を命令。自衛隊は陸と空からゴジラに向け総攻撃を開始する。このシーンの魅所は、CG合成を駆使した自衛隊の戦車、対車ヘリ、航空戦闘機が総動員される迫力の攻撃場面。ヘリ部隊による機関砲からアパッチ攻撃ヘリによる集中砲火、誘導弾、陸上自衛隊戦車中隊の10式戦車による一斉射撃、そして爆撃機による空爆と攻撃が次第にエスカレートする。   
 しかし「タバ作戦」の猛攻撃を撥ね付け、ゴジラは多摩川を越える。ここで日米安保条約を適用し、米軍の支援を要請することに。直ちに米軍の戦略爆撃機B-2がグアム島の基地を離陸。都内では米軍の総攻撃を避けるため、都民は地下街へ避難する。首相官邸もゴジラの進行進路にあるため、大河内総理と閣僚たちも脱出用ヘリに乗り込む。巨災対の矢口は車で脱出。一方、米軍は攻撃を早め、地中貫通爆弾をゴジラに向け発射し、出血と損傷を確認。ゴジラは動きを止める。  
 しかし次の瞬間、ゴジラは口から大量の火炎を吐き出し、背鰭から紫色の光線を周囲に放射する。その光線は米軍爆撃機を次々と撃墜し、一瞬で大河内総理以下閣僚が乗ったヘリを撃墜させた。その後もゴジラは鬼神の如く、口から吐く光線と背中から発するビームで東京都心、国会議事堂、永田町と霞ヶ関の一帯を破壊し焼き尽くす。首都東京中枢は火の海と化す。 
 ここで庵野監督は特撮とは言え、ゴジラ映画をテーマにして東京都心の破壊シーンを再現して魅せる。まるで太平洋戦争末期の東京大空襲、広島と長崎の原爆投下、そして2011年3月11日の東日本大震災のあのイメージを平和惚けニッポン人の脳裏に再び焼き付けるかの如く、本作品によって提示した。  
 かくして総理以下主要閣僚を失った日本政府と巨災対事務局長矢口の運命や如何に!?破壊の限りを尽くしたゴジラの対策は如何に!?  
 以下、第3弾へ続く。   

ー写真カットは、鬼神の如く東京都心を破壊し尽くし焼き尽くすゴジラ。   
   







シン・ゴジラ (1)


2018/11/4  ”名作映画” 
ー全国100万人の映画ファンの皆さん、今晩は、二階堂です。10月初め、念願の最新型の新しいノートパソコンを購入。しばらく中断していましたが本日、「名作映画」コーナーを再開します。今回取り上げる作品は、庵野秀明脚本・総監督の「シン・ゴジラ」(2016年公開)です。特撮監督は平成ガメラシリーズが代表作の樋口真嗣。因みに本作は皆さんお近くの某「ツタヤ」にてレンタル作品であります。  

 ファーストシーンは、東京湾上で漂流するプレジャーボートを発見した海上保安庁の巡視船が船内を捜索する場面から始まる。無人のボートを曳航準備中、突然周辺の海域で水蒸気が噴出。東京湾アクアラインでトンネル崩落事故が発生する。  
 日本政府は直ちに対策を開始。首相官邸の閣僚会議で、矢口蘭堂(長谷川博己)内閣官房副長官は事故の背景に巨大生物の存在があると示唆するが、閣僚たちは一笑に付す。その時、会議室のテレビの臨時ニュースで巨大生物の尻尾が映し出されると、政府閣僚は対応を改めることに。  
 巨大生物を捕獲か駆除か閣僚たちが堂々巡りの議論を続けている間に、巨大生物は多摩川を遡上し、河川沿いに北上する。国民に向け直ちに大河内清次総理(大杉漣)が緊急記者会見を開き、総理自らが「巨大不明生物の上陸はありません!」と明言する。一方、大田区に上陸した巨大生物は蛇行に似た動きで進行を続け、次々と街を破壊する。  
 面目を失った政府と首相官邸は矢口官房副長官を事務局長に任命し、「巨大不明生物緊急災害対策本部」(巨災対)を設置する。巨大生物駆除に動かない政府の対応に業を煮やした東京都は巨大生物駆除に向け、自衛隊の出動要請を検討する。政府トップとして決断を迫られた大河内総理は、遂に戦後初となる超法規的な防衛出動を自衛隊に命令する。  
 都民が逃げ惑う中、巨大生物は品川区で突然直立して二足歩行を始める。そこへ自衛隊の攻撃ヘリ部隊が到着。パイロットは射撃体勢に入るが、付近で住民が発見されたため攻撃は中止。そして巨大生物も進行を止め、再び東京湾へ姿を消す。巨大生物上陸後の被災現場を視察する首相官邸スタッフ。報道関係者と官邸スタッフが去った現場の瓦礫の山に向かって、一人手を合わせる矢口「巨災対」事務局長。  
 巨大生物の再襲来に備え、政府と自衛隊は対策を練る。やがて首相官邸の一室に各官庁、学界、研究所、自衛隊各界の一匹狼、変わり者、オタク、問題児、異端児が集結する。そんな折、米国政府の対応は予想以上に迅速で、カヨコ・パターソン米国大統領特使(石原さとみ)が矢口を訪ねてやって来る。彼女は失踪したある人物、生物学者の牧悟郎(岡本喜八、写真のみ出演)の捜索を依頼する。  
 不休不眠で働き続ける矢口と「巨災対」のメンバーたち。そんなある日、ゴジラが鎌倉市に再上陸したとの情報が入る・・・ 
ー以下、第2弾へ続く。   

ー写真カットは、再び鎌倉市に上陸したゴジラ。ゴジラ役のモーションキャプチャーは狂言師の野村萬斎。樋口真嗣特撮監督による名シーン。   

地獄の黙示録 (3)


2018/2/8  ”名作映画”  
ー本作の後半シーンで、若き日の名優デニス・ホッパーが戦場カメラマン役で出演している。ジャングル奥地にあるカーツ大佐の王国に辿り着いたウィラードに首から何台もカメラをぶら下げたデニス・ホッパー演じるカメラマンの男が駆け寄って来る。映画の役の上だけかと思っていたが、多彩な才能を持つホッパーは写真家としても有名であることを後に私は知った。  
 1989年秋の頃だったか、デニス・ホッパーの写真展が京都の法然院で開催され、雨の中私は駆け付けた。境内と会場には大勢の観客が溢れ、モノクローム作品も含めた彼の写真作品はプロ並みの腕前であった。その前後、京都市内の名画館のステージに来日したデニス・ホッパー本人が4番目の妻の新婦と登場し、舞台挨拶を行った。舞台の両端から現われた二人は、京都のファンの前で小コントまで演じて魅せてくれた。「アイ・ラヴ・ユー!」と新妻のキャサリン。「アイ・ラヴ・ユー・トゥー!」と53歳のデニス・ホッパーが透かさず答える。  

 また話が脱線した(笑)本作ストーリーに戻る。ウィラード一行の旅は続く。2001年に公開された本作特別完全版では、劇場公開版(1980年)から削除された53分の未公開映像シーンが二箇所追加されている。  
 台風のため川沿いの基地に不時着したヘリの機内で3人のプレイメイトと愛情を交わす哨戒艇の3人の若い乗組員。前線の米兵の性欲処理係にされる彼女たちの告白と戦場の真実を彼らは知る。本場アメリカの「PLAYBOY 」のセンターグラビアに毎月登場するプレイメイト。日本流に言えば、グラビアアイドルか。でも3人共プロポーションは良いが、演技力は下手(笑)  
 もう一つは、フランス人入植者とウィラードが彼らと会席で交流するシーン。川沿いの農園では武装した兵士たちが土地を守り、フランス人農園主とその家族、使用人らが定住していた。そのフランス人入植者をして劇場公開版とは異なる強い口調でアメリカの欺瞞とベトナム戦争の功罪を痛烈に批判する場面が出て来る。  
 そして生き残った3人の一行は、遂にカンボジア領内のジャングル奥地に築かれたカーツ大佐の王国へ辿り着く。土着の原住民の如く半裸で前身を白く塗った傭兵らがカヌーに立ち、ウィラードたちを迎える。そのカヌー群団の中を突き進むウィラードの小型哨戒艇。川岸に着くと、首から何台ものカメラをぶら下げた報道写真家の男(デニス・ホッパー)が近付いて来る。そのカメラマンの男は王国の中を案内し、ウィラードに彼らの主、カーツ大佐と面会させる。  
 軍人として輝かしい数々の経歴を持つカーツ大佐と実際に会って、彼のカリスマ性に一瞬引かれるウィラード。カーツ暗殺を躊躇する程だったが、カーツ大佐によって尋問され、木の檻の中に監禁されてしまう。やがて拘束から開放され、体力も回復した頃、水牛が生贄にされる儀式のその夜、ウィラードはカーツ暗殺を決行する。音もなく背後から忍び寄り、警護の兵士を倒す。そして大鉈を手に王国の主、カーツ大佐を斬殺する。その映像はかくも美しいシルエットで象徴的に表現され、原住民によって大鉈で水牛が無残に斬殺されるシーンとオーバーラップされる。  
 主を失った王国の私兵と傭兵たち。その軍団の中をゆっくりと進むウィラード。まるでモーセの前で紅海が裂けるかのように彼を避ける群衆。ある一人の兵士の前で立ち止まり、前任者のコルビー大尉だと確認すると、ウィラードは彼の手を取り再び歩き始める。任務を終えたウィラードと3人の兵士を乗せた哨戒艇は、静かにカーツ大佐亡きジャングルの王国を去るのだった。  
 最後に、臨終の間際のカーツ大佐の言葉が木霊する。  
 「地獄だ!地獄の恐怖だ!」    
                    
             (了)   

ー写真カットは、水牛が生贄にされる祭りの夜、遂にカーツ大佐の暗殺を決行するウィラード。川面に浮かぶ特殊部隊要員と化したウィラードの本作シーンより。  

 

地獄の黙示録 (2)


2017/12/27  ”名作映画”  
ー本作のロケは米軍の協力が得られなかったため、フィリピンのジャングルで行われた。戦闘機やヘリコプターはフィリピン軍の協力に拠ったが、当時フィリピンは共産党ゲリラとの内戦や反乱があり、撮影スケジュールは度々乱れた。ロケ中、台風がフィリピンを直撃し、映画のセットがすべて崩壊したことも。キャスティングのトラブルもあり、映画の撮影期間も当初の17週間の予定が61週間に延びた。映画制作費も約35億円の予算が3倍近い約90億円に脹らんだ。出演者同士のトラブルや事故も続き、遂にコッポラ監督が心労で倒れる事態に。  
 本作品をフィリピンの密林で撮影中の1976年頃、疲れたコッポラは休養で日本へやって来た。六本木の馴染みのバーに来ては、「映画が撮れない!撮れない!」と嘆いていたと、村上龍がどこかで言っていたナ。  

 本作ストーリーに戻る。川を哨戒艇で北上するウィラードは戦争の狂気を目撃する。川でサーフィンをするためだけで、ワーグナーの名曲「ワルキューレの騎行」を大音量にして流しながら、ベトコン地区の村を米軍ヘリ部隊と爆撃機が次々と空爆を加える。家々は焼き尽くされ、無辜の女子供、村人たちが犠牲となる。爆撃直後の村に隊長機のヘリで降り立ったキルゴア中佐が部下の前で嘯く。
 「朝のナパーム弾は格別だ」  
 コッポラはこのシーンでアメリカによるベトナム戦争の狂気を暗喩する。本作のテーマは独白のスタイルを取るウィラード大尉の物語であり、同時にジャングルの奥地に自らの王国を築くカーツ大佐の物語でもある。その二つが縦糸と横糸の如く織りなす構成を持ち、巨匠コッポラによる神話的かつ叙事詩的映画の手法を取る。  
  ウィラードの旅は続く。小型哨戒艇内でドラッグに酔う若い米兵たち。川沿いの米軍基地の特設ステージではヘリから3人のカウガール姿のプレイメイトが降り立ち、熱狂する米兵たちの前でダンスを披露する。さらにウィラード一行が河を遡上すると、指揮官を失ったその基地では兵士たちだけが前線の基地でベトコンと戦っていた。  
 途中、川で民間人の船と遭遇。一行はその船を停め、積荷を検問するが、若い乗組員が敵のベトコン兵と見間違え船長の男を銃殺する。そして狂気が全員に伝わり、若い米兵らは女も含めたすべての船の乗員を機関銃で掃射してしまう。その後、ウィラードたちの哨戒艇も川岸から敵に攻撃され、何人かの乗組員を失うことに。  
 生き残ったウィラードと二人の部下の若い兵士は再び川を北上する旅を続け、遂にカーツ大佐が支配するジャングル奥地にある彼の王国へと向かうのだった・・・  

ー以下、第3弾へ続く。  

ー写真カットは、米軍基地の特設ステージで熱狂する米兵たちの前でカウボーイハットとカウガール姿でプレイメイトがダンスを披露する本作シーンより。   
 
プロフィール

二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

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