fc2ブログ

日本のいちばん長い日 (2)


2019/4/11  ”名作映画”   
ー原田真人監督は、1949年静岡県沼津市生まれ。東京写真専門学校卒業後、1972年ロンドンに語学留学する。映画評論家を経て、ロサンゼルスで6年間映画監督の修行を積む。1979年に一時帰国し、「さらば映画の友よインディアンサマー」で監督デビュー。また得意の語学力を生かし、字幕翻訳も手懸ける。本作は、日本を終戦に導いた昭和天皇の姿を描いた最初の日本映画とされる。近作に、戦国武将石田三成(岡田准一主演)を描いた映画「関ヶ原」(2017年)がある。   

 本作ストーリーに戻る。8月10日未明、御文庫地下壕にて鈴木首相と最高責任者の閣僚8名が列席し、昭和天皇臨席による御前会議が開かれる。ポツダム宣言受諾について議論されるが、国体維持について意見が分かれる。そこで鈴木首相は昭和天皇に御聖断を仰ぐ。天皇が静かに語り始める。   
 「私は外務大臣の意見に同意である。このまま本土決戦に突入すれば、日本民族は死に絶えてしまう。私の任務は祖先から受け継いだこの日本という国を子孫に伝えることである。一人でも多くの日本国民に生き残ってもらい、その人たちに将来再び立ち上がってもらう他に道はない」  
 10日午前、阿南陸軍大臣は陸軍省地下防空壕で戦争継続を訴える青年将校らを前に演説する。「御前会議で主張すべきことは主張した。陸軍は和戦両翼の構えで連合国側の解答を待つ。厳粛な軍紀の下、一糸乱れず団結していけ!」 
 ところが陸軍省内では終戦に向け、和平派と抗戦派の二派が分裂する動きが。8月11日夜、井田陸軍中佐と畑中健二陸軍少佐(松坂桃李)が憲兵隊を引き連れ、阿南陸相の自宅にまで押し掛ける。和平派からも抗戦派からも命を狙われることになった阿南陸軍大臣は覚悟を決める。  
 一方、陸軍省軍務課作戦会議室では徹底抗戦派青年将校の荒尾軍務課長、井田中佐、畑中少佐らによるクーデター計画が着々と進む。そして彼らはクーデター計画書を手に阿南陸軍大臣の元を訪れる。「あらゆることを考え抜いた上での結論か」と阿南大臣。「当然であります。閣下の支持を頂けますか」と詰め寄る畑中少佐。「今は閣議に全力を注ぐ。軽挙妄動は慎め!」と一言釘をさす阿南陸相。   
 8月13日、閣僚会議でポツダム宣言受諾の可否について最後の評決を取る鈴木首相。その会議中、大本営がラジオを通じて重大発表を行うとの報告が。急遽、放送局へ火消しに奔走する迫水書記官長。   
 「本日、勅命を拝し米・英・ソ・支那の軍隊に向け、作戦を開始するだと!?」と電話口で問い返す大本営参謀本部長。「青年将校らが勝手にやったことです」と部下の参謀幹部。「姑息な真似をするな―!」と偽造された命令書を翳し、報道部若手参謀らを怒鳴りつける参謀本部長。  
 再び、閣僚会議の席で鈴木首相が、閣僚たちに向けて言う。「それでは本日の閣僚会議の結果を踏まえ、明日重ねて陛下にご聖断を仰ぐ所存であります」。閣議が終わり、ソファーで寛ぐ鈴木首相に歩み寄る阿南陸相。御前会議をもう一日待って頂きたいと懇願する阿南陸軍大臣に鈴木首相が答える。「この機を外してはなりません。悪しからず」「分かりました」と納得して退室する阿南大臣。鈴木首相が傍らの迫水書記官長に自らの決意を語る。「一日待てば、ソ連が満州、朝鮮、南樺太ばかりでなく北海道にまで来る。日本列島は分断される。相手がアメリカの内に始末をつけなければならん!」   
 8月14日午前、宮城内御文庫地下防空壕で昭和天皇臨席の御前会議が開かれる。天皇は閣僚を前にして終戦交渉に向け自らの決意と覚悟を述べられる。「私自身は如何になろうとも、私は国民の生命を助けたいと思う。耐え難きを耐え忍び難きを忍び、将来の回復に期待したいと思う。私が呼び掛けることが良ければ、いつでもマイクの前に立つ。内閣では至急に終戦に関する招集を用意してほしい」  
 陸軍省に戻り、青年将校らを前に昭和天皇の聖断を告げる阿南陸軍大臣。「最後の御聖断は下った!」それでも血気に逸る徹底抗戦派の青年将校らに、「納得できんのなら、私をこの阿南を斬ってからやれー!」と一喝する阿南大臣。激昂し机を何度も拳で叩く畑中少佐を押さえ付け、部屋の外に連れ出す井田中佐ら。「行くぞ、畑中!」「俺は戦えるんです!まだ戦えるんです、閣下!」と叫ぶ畑中少佐。  
 14日午後、近衛師団司令部の部屋に駆け込む畑中少佐。「古賀、溝口、決起だー!」畑中少佐ら三人は自転車で宮城へと走る。そしてその日8月14日の午後から深夜にかけて、徹底抗戦派の陸軍省青年将校ら、玉音放送の準備を始める宮内省職員、ポツダム宣言受諾の条文作成に最後の詰めを議論する閣僚と三者三様の思惑が終戦のその日に向けて交錯するのであった・・・ 

ー以下、第3弾に続く。  

ー写真カットは、御文庫地下防空壕で開かれた御前会議で昭和天皇の御聖断が下されるシーン。   

スポンサーサイト



プロフィール

二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
二階堂 新 賢者は、かく語りき
最新記事
カレンダー
03 | 2019/04 | 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる