軽蔑 (7)


「時事テーマ」:2013/4/26 ”名作映画シリーズ ”   
ー本作の全国公開(6月4日)に先んじ、2011年5月29日、和歌山県新宮市民会館にて、「軽蔑」の先行上映会があった。   
 ステージ上には、廣木隆一監督、主演の高良健吾、鈴木杏が登場。原作者、中上健次の故郷、新宮で会場に詰めかけた聴衆を前にトーク・ショーを行った。高良は、「新宮という町に守られているような気がして
心強かった」と語り、鈴木も、「私も新宮の町が大好きです。今日は、ここへ戻って来れてとても嬉しいです」とその喜びを語った。  
 また本作品が完成した同年5月30日、主演の高良と鈴木は、作家、中上健次の故郷の墓前に映画の完成
を報告した。私は、中上健次の遺志を受け継ぎ、書き続けなければならない。  
 本作ストーリーに戻る。友人のニシ、サトル、そして「アルマン」のママ、千代子を失い、真知子まで山畑の手に落ちようとする今、カズはある決意をする。駅を出て、タクシーに乗り、一人でカズは山畑の店へ
向かう。  
 階段を駆け上がり、二階の事務所のドアを開け、出て来たチンピラの手に向け、拳銃を発射する。  
 「パン!」「ううっ~ん」  
 拳銃を手に、山畑を捜し、左右を見回すカズ。その隙を突き、包丁でカズの腹を刺す山畑。事務所の床に
倒れ込むカズ。  
 「おまえみたいな阿呆、見たことないわ」と拳銃を奪い取り、刺したカズの腹をさらに押さえ付ける山畑。携帯を差し出し、うずくまるカズに言う。  
 「ほら、これで、親に『払ってくれ』と電話せい」  
 しかし、その携帯を手で払い除けるカズ。それを拾い上げる山畑の隙を見て、腰にタックルし、山畑を床に押し倒すカズ。もみ合いになり、上になったカズが拳銃を取り返し、鬼の形相で言い返す。 
 「真知子はやるが、ー」  
 「恋女房を振って、売るんか。アッハハハー」と勝ち誇る山畑の腹部に拳銃を押し当て、その引き金を引く。  
 「バーン!」  
 刺された腹を手で押さえ、夜の商店街通りをフラフラと歩くカズ。倒れては立ち上がり、歩いてはまた倒れる。その時だった。  
 「カズさーん!カズさーん!」と真知子の声が響く。腹を押さえ、振り向くと、そこに真知子が立っていた。倒れたカズの元へ真知子が全力で駆け寄る。  
 タクシーの後部座席、真知子の膝の上でカズが、声を振り絞って言う。  
 「痛てえー」「どこへ行くんだった」「どこでもいいよ」「知らないところへ行こう」「また一緒に二人
で暮らそう」「心配しなくていい」「カズさん、アタシを見て」「・・・・・・」   
 やがて真知子の膝の上で、カズは息絶える。カズのその体を抱えたまま、真知子の瞳に大粒の涙が溢れ、頬を流れ落ちる。   
 ラスト・シーンは、再び戻って来た歌舞伎町の店の楽屋の場面。出番を待つ真知子の横で、ヤクザの伊藤
(村上淳)が語る。   
 「店を襲撃したら、新宿から出て行けと言ったのは俺だ」「まさか、カズが真知ちゃんを連れて逃げるとはなあ」  
 出番になり、ガウンを脱ぎ、離婚届けをゴミ箱に捨て、楽屋を出る。客席では男たちの拍手と歓声が湧き起こり、ミラーボールが光り輝き、BGMが流れ、またステージに立つダンサーの真知子だった。   

           (了)







 






  








  
 


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二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

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