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石井隆監督とヌードな女たち (2)


2013/7/24  ”名作映画特別編”   
 <評論シリーズ 第5弾>  
   石井隆監督とヌードな女たち 後編  
    ~石井隆は、エロスの幻想世界に愛を視るか!?   

        二階堂 新(フリーライター)   

ー私は、この夏、映画『フィギュアなあなた』を2度魅た。1回目は、全国劇場公開直後の6月18日、2回目は、7月5日、東大阪市にある関西唯一の上映館「布施ラインシネマ」へ京都から私鉄、地下鉄を乗り継いで出向いた。  
 1時間52分、感動のそのラスト・シーン、2度目もアツイものが胸に込み上げ、私はしばらく座席を立つことが出来なかった。以下、敢えてその幻想的センチメンタリズムを乗り越え、わが渾身の「石井隆論」を書く!   
 あまり知られていないが、本作『フィギュアなあなた』以前に、石井ワールドの原点とも言える『フィギュアなあなた』(2006年)がある。私は、DVD版で持っている(笑)脚本・監督は、石井隆。主演は、当時38歳の杉本彩(笑)   
 ストーリーは、オタク青年のフィギュア人形師(山口祥行)が、女流小説家で女優のアヤ(杉本彩)をスタジオ撮影中、特権を悪用し、クスリで眠らせる。誰もいなくなったスタジオ内で、ワイヤー・ロープを使って、等身大フィギュア、アヤのコスプレを一人楽しむという、ちょっとアブナイ23分間の小作品。この
作品で、杉本彩はヘアー・ヌードを見せている。  
 本作『フィギュアなあなた』で、石井隆監督は、美少女フィギュア・ココネ役の佐々木心音のその裸とヘアー・ヌードに固執するまり、要所要所、各シーン毎に心を持って動くフィギュア、ココネの目の動きを生かし切れていない。石井監督は、恐らく佐々木にその演技指導はしていないだろう。  
 またほぼ全裸に近いココネ役の佐々木心音に、腹部にのみ「縛帯」を巻き付け、過激なワイヤー・アクションに挑むこと自体、無理がある。この撮影中、佐々木は股関節を痛め、何度もNGシーンを繰り返したため、一時全身に激痛が走るアクシデントに見舞われたことを、メイキング映像『セカンド・ステージ』で明かしている。  
 さらに言えば、劇画作家出身の石井隆のアクション・シーンは、どこか「マンガチック」でもある。美少女フィギュア・ココネは、なぜノーブラ&ノーパンで戦うのか?美少女フィギュアが、なぜ一撃で大の男を倒せるのか?美少女フィギュアが、なぜ躊躇もせず、奪った拳銃でヤクザ二人を撃ち殺せるのか?なぜ空を
飛べるのか?普段動かないフィギュアが、なぜベッドでセックスできるのか(笑)  
 本作でも一番の魅せ所である、健太郎と美少女フィギュア・ココネが出会う廃墟ビルのシーン。ここでも、室内なのになぜか雨が降る。リドリー・スコット監督のSF映画の名作『ブレードランナー』のパクリか!?また酔い潰れた健太郎の前で、ダンサー役の壇蜜が妖しく踊る「ガラス・バー」のワン・シーン。これも、ロジェ・バデイム監督のエロテイックSF映画の古典『バーバレラ』(1968年)で、バーバレラ(ジェーン・フォンダ)が宇宙船のガラス製のベッドに、シースルーの宇宙服を密着させて眠るシーンから、石井監督は着想を得ていると、私は確信する。   
 そしてラスト・シーン。魂魄の魂となった健太郎が、ココネが待つアパートの部屋へ舞い戻る。しかし愛する者を失ったココネは、一体のマネキンと化し、ソファーに横たわる。それでも尚、二人の魂は語り合う
。このシーン、ジャン=リュック・ゴダール監督の名作『気狂いピエロ』(1967年日本公開)で、フェルデイナン(ジャン=ポール・ベルモンド)が恋人のマリアンヌ(アンナ・カリーナ)を銃で撃ち、自らも
爆死した後、昇天した二人の魂が、天界で会話するあのラスト・シーンを彷彿とさせる。   

 私は大学時代、美学を専攻し、西洋美術史、西洋の宗教史・思想史も勉強した。また大学のスクール・カラーもあり、『新約』『旧約』の聖書のページもめくり、一時期教会にも通った。高校と大学時代、ダンテ
の『神曲』も文庫本で齧ったが、結局よく分からなかった(笑)   
 石井隆自身、本作品冒頭シーンで、ダンテ『神曲』のエッチング挿絵をイメージとして使用しているが、果たしていかなる意図があるのか。  
 本作『フィギュアなあなた』のメイン・テーマは、近松門左衛門の「心中物」にも通じる、この世で叶わぬ男女の悲恋であり、日本的情死にも直結するものである。決して『ブレードランナー』のラスト・シーン
が提示する如く、キリスト教的信仰に基づく男女の愛をこの現生において、カップル=恋人、夫婦がどこまでも追求して行くという近代的な自我を意味するものではない。  
 最後に、私は問いたい。鬼才・石井隆監督は、エロスとタナトスの狭間のその幻想世界において、果たして至上の愛を視るや否や!?    

    *    *    *   

 2012年8月末、撮影がオール・アップし、朝焼けのロケ現場のアパートの屋上で、石井隆監督が、ココネ役の佐々木心音に花束を渡す場面が、メイキング編『セカンド・ステージ』にある。   
 石井監督は、「心音君から」と自ら声を掛け、バレエ衣裳の佐々木に大きな花束を手渡す。しかし、その
花束を一瞬で手渡すだけ。真夏の2週間に及んだハードな撮影行、そして企画・交渉期間を含めもっと長い時間を共有したであろう、女優、佐々木心音の労を労うべく、握手も抱擁もせず、石井監督は早々に立ち去った。私はこのシーンを見て、鬼才・石井隆のある一面を見た思いがした。  
 願わくば、石井隆監督をめぐるヘアー・ヌードな女たち、杉本彩、佐藤寛子、そして2013年夏、本作品とメイキングDVDと写真集で、我々にヘアー・ヌードを魅せてくれたグラビア・アイドル出身の佐々木心
音が、さらなる本格派女優として開眼せんことを私は、切に願う。   

        (了)   

ー写真カットは、撮影がオール・アップし、ロケ地のアパートの屋上で、ココネ役の佐々木心音に花束を手渡す石井隆監督(背中)。メイキング編『佐々木心音セカンド・ステージ』の映像より。  

<参照データ>   
 ー『佐々木心音 セカンド・ステージ』(DVD本編94分、2013年、角川書店)  
 ー『フィギュアなあなた』(DVD2006年、徳間書店)   
 ー『キネマ旬報』(2013年6月下旬号)「特集 映画作家の肖像 インタビュー 石井隆監督」 
 ー『月刊 シナリオ』(2013年8月号)「特集 ロングインタビュー石井隆」&『フィギュアなあな  た』全編シナリオ掲載。
 








  
 





    

 


   

   





   
 
  

 






























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Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

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