華氏911 (3)


2014/3/6  ”名作映画シリーズ ”   
ーマイケル・ムーア、1954年4月23日、米国ミシガン州フリント生まれのジャーナリスト、ドキュメンタリー映画監督、映像作家。因みに私は彼と一歳違い、同じ誕生日です(笑)   
 ゼネラル・モーターズ社の拠点でもあったフリントでアイルランド系の労働者階級の家庭に生まれる。ミシガン大学を中退後、編集者、ドキュメンタリー映画の監督を務め、その突撃取材が話題となる。2000年米大統領選では、緑の党のラルフ・ネーダーを支援した。その後ムーアは、2004年米大統領選で「ブッシュを再選させてはならない」という立場から、本作品を製作・公開したと自ら公言している。   
 代表作に、『ロジャー&ミー』(1989年)『ボウリング・フォー・コロンバイン』(2002年)『華氏911』(2004年)『シッコ』(2007年)がある。2009年12月に来日し、大阪芸術大学で尊敬する日本のドキュメンタリー映画監督の原一男の講義に参加。その後学生との質疑にも応じ、同大学の映像学科長であり
『ゴジラ』シリーズの監督でもある大森一樹とも会談している。   

 本作ストーリーに戻る。かくして”戦時大統領”となったブッシュは、「対テロ戦争」へとアメリカ国民を駆り立てて行く。   
 「つまり『対テロ戦争』という実際には根拠のない噂と被害妄想を自国民に植え付ける米政府による巧妙な政策
なのです」   
 心理学者でもある議会公聴会委員が取材に答え、警告する。   
 2001年9月11日、「9・11テロ」後、ブッシュのアメリカは、「対テロとの戦い」の名の下、アメリカ国民を監視し自由を規制する「警察国家」へと変貌する。「9・11テロ」から6週間後、ブッシュ大統領は悪名高い「愛国者法」に署名する。   
 「テロから国を守るためなら、多少の不自由も仕方がないわ」と市民の声。しかしその愛国者という言葉とは裏腹に、市民の政治的発言、表現と言論の自由まで官憲によって監視され、規制・制限されるアメリカ社会。退職し年金暮らしのある市民が、その体験を語る。   
 「たまたまスポーツ・ジムの仲間と「9・11テロ」の話をしたら、数日後、うちにFBI(連邦捜査局)がやって来た」「FBIが何の用?」「『9・11テロ』、ビンラデイン、石油利権について何か話したか」と捜査員が聞いて来た。「だから言ってやったよ。『誰でも皆、話してる』とね」   
 そこで上院政策担当議員に、「愛国者法」の由来とその詳細について問い質すムーア。ベテラン議員が彼のオフィスで答える。   
 「ムーア君、いいかね。我々は忙しくて、いちいち法令のすべてに目を通している時間はないんだ」
 すると早速ムーアは、「マイケル・ムーア号」に飛び乗り、ワシントン中心部の通りを「愛国者法」の条文をマイクで読み上げながら走り回る。   
 また米政府は「テロとの戦い」を声高に言う割りには、予算もスタッフも通達も出していない。ニューヨークから遠く離れたオレゴン州では、何百キロもの海岸線を数名の国境警備隊員が、パートタイムでその任務に当たる。政府は、テロリストに対するマニュアルさえ各州に配布すらしていない。   
 2003年3月19日午後10時11分、ジョージ・W・ブッシュ大統領はホワイトハウスで、イラクに対して宣戦布告した。   
 「国民の皆さん、ただ今米国と同盟軍は、イラクに対する軍事作戦を開始しました。イラク国民を開放し、世界の安全を守るためです」   
 そのころ、イラクのバグダッド市内は夜。まるで打ち上げ花火のように巡行ミサイルが夜空に降り注ぎ、バグダッドの街、建物、家々を次々と破壊する。マイケル・ムーアが警告を発する。   
 「2003年3月19日、ブッシュ大統領と米軍は、主権国家イラクを侵略した。未だかつて一度も米国を攻撃したこともなく、米国民も米軍兵士の一人も殺したことのないその国を」   
 バグダッド市内に侵攻した若い米兵たちが語る。   
 「手っ取り早く、まず動く者は撃つ!」「実際、戦闘になると凄く興奮する、スリル満点だ」「CDはヘルメットにつないで、戦車の中でも聴ける」と若い兵士が戦車の前で陽気に話す。別の黒人の米兵が、その心情を語る。
 「想像していた戦争とは違った。戦車で市街戦を戦うなんて、思ってもみなかった。相手は、銃を持った民間人だ」   
 ここでマイケル・ムーアは、米軍によって攻撃を受けるバグダッド市民の様子を映したテレビ映像を引用する。
現地バグダッド市内で、頭にターバンを巻いた男が、空爆で死亡した幼い少女の遺体をトラックの荷台に乗せ、怒りを込めて訴える。   
 「この小さな娘が、一体何をしたと言うのか!?米兵を殺したか?アラーは、私に米兵を打てと言った。死を恐れぬ者のその魂は決して死なないと、コーランに言う」   
 同じく米軍の攻撃で家を破壊され家族を失った中年女が、半狂乱になってテレビ・カメラに向けて叫ぶ。  
 「米軍は、一体どこを見て撃ってる!?私たちは民間人だ。米軍は私の家族、家すべてを焼く尽くした」「あたしや、5回も葬式を出した。私はアメリカを呪う!アメリカに死を!アラーは偉大なり!」   
 ホワイトハウスで、市民への無差別空爆を釈明するラムズフェルド国防長官の記者会見の映像シーンが流れる。
 「我々は、人道的配慮を充分に行っている」   
 ムーアのブッシュ政権閣僚への批判は続く。「イラクは現在、大量破壊兵器を有していると思われる」と語るパウエル国務長官。「イラクはアルカイダを支援している」と名指しするチェイニー副大統領。さらにパラオ、コスタリカ、アイスランドといった自国に軍隊も兵器もない有志連合の参戦を得意げに強調するブッシュに対して、その歴史の過ちを断罪する。   
 そしてムーアは、2003年のイラク戦争後、アメリカのすべてのマスコミが大本営発表の政府の御用メデイアとなってしまったことに警鐘を鳴らす。   
 「米政府は、イラク戦争で戦死した米軍兵士の映像をテレビで全く流さなかった」と指摘する。   
 かくして2003年5月1日、ブッシュ大統領はアラビア海の空母の甲板上で、米軍兵士を前に「戦闘の終結宣言」を行った。   
 「皆さん、イラクでの戦闘は終結しました。米国と同盟軍は、勝利を勝ち取ったのであります」   
 しかしそれは戦争の終わりではなく、新たなるテロの始まりの開始となるのだった・・   

ー以下、第4弾へ続く。   

ー写真カットは、イラク戦争開戦演説の前、テレビ中継のためメイクを施されるブッシュ大統領。


























   
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二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

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