ジャッカルの日 (3)


2014/5/8  ”名作映画シリーズ ”   
ーフランス第五共和政初代大統領、ドゴールは第2次世界大戦中も含め、人生で31回の暗殺未遂事件に遭遇した。本作の原作『ジャッカルの日』にもあるように、1962年夏、右翼組織OASによる機関銃銃撃事件に遇ったが、ドゴールは九死に一生を得ている。1969年、大統領を辞任し、翌年1970年、シャルル・ド・ゴールは79歳で天寿を全うした。   
 余談だが、私の父は75歳で大工職人として人生を終えたが、太平洋戦争中、6年間中国戦線に一兵卒として従軍した。日中戦争末期、1944年の大陸打通作戦(一号作戦)おける洛陽攻略戦では、決死の斬り込み部隊に参加。想像を絶する突撃作戦を生き延び、本丸まで進軍。「わしは、百メートル先を側近らと共に走って逃げる蒋介石の姿を見た」とかつて亡父は少年の私に語った。もしその時、若き日の一等兵の父が機関銃の銃弾を撃っていたら、その後の歴史は変わっていたかもしれない。   

 本作ストーリーに戻る。かくして、英仏両国官憲が総力を挙げて包囲網を敷く中、ジャッカルは白のアルファ・ロメオのスポーツカーに乗り、陸路イタリアからフランスのパリを目指す。  
 まず車体のシリンダーを加工し、改造銃をアルミ管に入れ、それを車体の底に溶接で取り付ける。国境の検問所では、ポール・ダガン名義の旅券と観光目的の入国で無事摺り抜ける。   
 しかしその頃、パリのルベル警視の定例報告会では、ジャッカルの偽旅券、番号、入国日付が詳細に把握されており、即刻、逮捕せよとフランス中に通達された。ここからドゴールを追うジャッカルが、いつしかフランス官憲側のルベル警視に追われるという逆転化した攻防戦が繰り広げられる。   
 「ウオレンスキーが、死ぬ前に暗号名を吐いた」   
 ジャッカルに連絡員のヴァルミから連絡が入る。フランス国内に入国したジャッカルは、山中のホテルに宿泊する。   
 その数時間後、深夜のルベル警視のオフィスに、ジャッカル入国との報告が入った。ジャッカルを追い、ルベル警視はパリからセスナ機とヘリを乗り継ぎ、現地のホテルへ。しかし一足早く、ジャッカルはその動物的直感で逸早くホテルを出発、一路パリへと走っていた。その途中、ジャッカルは車のナンバー・プレートを取り換え、車体をブルーに塗り変える。山中の急カーブで交通事故を起こすと、ジャッカルは事故死した中年男のその車に乗り換える。   
 山中のホテルで知り合ったモンペリエ男爵夫人の館を訪れ、そこで傷を癒すジャッカル。しかしモンペリエ夫人が彼の正体とその目的に気付きそうになると、ジャッカルは躊躇なく夫人をベッドで毒殺する。翌朝、ジャッカルは夫人の車で館を走り去る。駅前でその車を乗り捨て、ジャッカルはパリ行きの列車に乗り込む。デンマーク人教師、ペーア・ルントクビストになりすまし、偽旅券で駅の検問を通過する。   
 同じくその朝、パリのルベル警視の元に連絡が入る。キャロン警部が伝える。   
 「モンペリエ夫人が殺害されました」「誰に」「ジャッカルのようです」「これで奴は殺人犯になった。公開捜査に踏み切り、テレビで奴の写真と名前を流せ!」とルベル警視が叫ぶ。   
 終にパリ駅に到着したジャッカルは、サイレンを鳴らしながら駅へ急行するパトカーを尻目に、タクシーに乗りサウナへ向かう。そこでデンマーク人教師に変装したジャッカルは、パリ滞在中のデンマーク人旅行者と知り合い、意気投合し彼のアパートへ。しかしここでも、テレビ・ニュースでその正体を知ったデンマーク人のその男を、ジャッカルは平然とあやめる。   
 その日8月25日、凱旋門広場では、パリ解放記念日の式典が始まろうとしていた。徹底した警備体制が敷かれ、パリ中の警察官と私服刑事たちの監視の元、年に一度の公開行事に大勢のパリ市民と観光客らが広場に集まって来る。その現場を丹念に注意深く歩いて回るルベル警視。   
 やがて凱旋門前に黒塗りのシトロエンが停まり、長身のドゴール将軍が降り立つ。そこへ、さっと長身のスーツ姿の精鋭SP数名が取り囲み、将軍と共に歩き出す。  
 そして午後1時20分、ジャッカルが現われた。黒い帽子と黒い服、胸には勲章、両手で松葉杖をつき、左足半分を無くした傷痍軍人に変装したジャッカル。警備中の若い警官に偽の退役軍人身分証を見せ、狙撃ポイントのアパルトマンへと向かう。管理人の老マダムに近付き、隙を見て背後から手刀で彼女を気絶させると、下見をしていた最上階の部屋へ。   
 部屋に入ると、窓のカーテンの隙間から外の様子を伺う。周囲の建物の屋上には、銃を手にした狙撃兵が配置されている。ジャッカルは、テーブルと椅子で銃を固定する台座を作る。次に松葉杖から改造銃のパーツを取り出し、それを組み立てる。改造ライフル銃を台座に据えると椅子に座り、ジャッカルはその時を待つ。  
 式典はクライマックスへ。「8月16日広場」にドゴール大統領が車から降り立つ。ファンファーレが鳴り響き、抵抗運動戦士の叙勲式が始まる。軍服の楽団がフランス国家を演奏し、直立不動のドゴール将軍がフランス国旗に敬礼する。凱旋門前の大通りを戦車、装甲車、軍用トラック、白バイ隊、騎馬隊が行進し、上空にはジェット戦闘機が飛び交う。   
 その間も広場の群衆の中、歩きながらジャッカルの姿を捜し続けるルベル警視。制服の若い警察官に問う。  
 「怪しい者を見かけなかったか」「先程、退役軍人が中に入って行きました」  
 「奴だ!」とそのアパルトマンの方向へ駆け出すルベル警視と軽機関銃を携えた警官の二人。   
 やがて式典会場のドゴール将軍自ら、レジスタンスの勇者に勲章を授与する。終にその時がやって来た。窓越しに改造ライフル銃のスコープを覗くジャッカル。100メートル以上離れたドゴールの頭部を狙い、その引き金を引く。   
 しかしその瞬間、ドゴール将軍は退役軍人にキスするため、その長身を屈めた。ジャッカルの乾坤一擲のその弾丸は反れて地上へ。慌てて2発目の弾丸を装填するジャッカル。その時だった。   
 「ダッダダダーッ!!」   
 そこへドアを撃ち破りながら、警官とルベル警視が部屋に乱入。改造銃で迎え撃つジャッカル。床に倒れ込む若い警官。その瞬間、撃たれた警官の軽機関銃を素早く手に取ると、ルベル警視はジャッカルに向け撃ち続ける。不意を突かれ機関銃掃射を受け、壁に弾き飛ばされ息絶えるジャッカル。   
 そして、ジャッカルの日はすべて終わった。ところがその後、チャールズ・カルスロップは別人の貿易商として実在した。イギリス人、デンマーク人、フランス人にも変装したジャッカルという男の正体は、終に誰にも分からなかった。唯一人ルベル警視だけは、その男が墓地に埋葬される最期のその時を見届けたのであった。  

      
        (了)   

ー写真カットは、ドゴール将軍を狙ったジャッカルの改造ライフル銃の弾丸が反れて、地上に当たったその瞬間の
シーン。























  
 
 
















  










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二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

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