パッチギ! (4)


2014/10/2  ”名作映画シリーズ ”   
ーかくして、東高校空手部は宿敵のアンソンら朝鮮高校グループを打倒すべく、大阪から助っ人軍団「ホープ会」を呼び寄せ、朝鮮包囲網の作戦を決行する。手始めに、アンソンのガクランを着て新京極通りを一人歩くチェドキを襲うホープ会の面々。
 「こいつはアンソンと違う!」と東高空手部の部員が叫ぶと、血まみれのチェドキを放置して走り去る白いコートの軍団。ヨロヨロと立ち上がるチェドキ。細い路地を駆け抜け、表通りへ飛び出し、思わずバイクとぶつかりそうになる。  
 「パパーーン!」そこへトラックがクラクションを鳴らし、寸前で急停止する。しかしその瞬間、弾みで荷台に積んでいた鉄パイプが外れ、チェドキの頭部を貫く。   
 シーンは変わり、チェドキの通夜の日。アンソン、モトキ、康介、キョンジャ、ガンジャがその家に集まる。葬儀社のトラックが棺桶を運んで来るが、そのバラック小屋のような家の玄関には入らない。やむなくアンソンとモトキは斧で入口を壊して、棺桶を家の中に入れる。家の中では女たちが、嗚咽を抑え切れず泣きじゃくる。  
 「俺、飲むぞ!」と言うとモトキと共に家に帰るアンソン。マッコリを酌み交わすアンソンとモトキ。そこへ康介もやって来て、3人で通夜の酒を飲み始める。その後二人を残し、康介は再び葬式の席へ戻る。  
 「おまえ、もう帰れ!」ところが、一族の長老に一喝される康介。チェドキの家族、親戚、一族が居並ぶ通夜の席で、初老の長老が康介にたんたんと言い聞かせる。   
 「おまえ、淀川のしじみ食べたことあるか。土手の雑草を食ったことあるか」  
 かつて釜山から船で強制連行されて日本に連れて来られたその実体験を語る在日コリアンの長老。   
 「おまえたち、何知ってる。「おまえらは何も知らん」「出て行ってくれ!」「帰れーっ!」「帰って下さい」ともう一度長老が静かに言う。女たちは嗚咽する。そっと立ち上がり、葬式の通夜のその席を立つ康介だった。アンソンの店に戻ると、康介はギター・ケースを手に取り外へ出る。   
 ここから、本作映画のクライマックス・シーンへ。康介、アンソン、桃子、3人のそれぞれの人生が同時進行で場面展開され、主題歌「イムジン河」の効果的なBGMに合わせ感動的とも言える三重奏の名シーンが続く。   
 ギター・ケースを下げて、東山橋をトボトボと歩く康介。橋の中央でギター・ケースからギターを取り出すと、そのギターを狂ったように橋の欄干に叩き付ける。その壊れたギターを橋の上から夜の鴨川に投げ捨てる。ギター・ケースも同じようにして川の中へ。哀しみと怒りのあまり、泣き叫びながら康介が投げ捨てたそのギターとギター・ケースは鴨川の水に呑み込まれ、その川面を流れてゆく。オダギリジョーが歌うテーマ曲「悲しくてやりきれない」のBGMが、かくもセンチメンタルにそして美しく流れる。   
 臨月のお腹を撫でながらバスに乗った桃子は、ガンジャの勤める病院へ向かう。そのバスを追い抜き、チェドキの弔合戦のため、アンソンたちは車で現場へ急行する。夜の鴨川の両岸に別れ、アンソンら朝鮮高校グループと東高校空手部と大阪から助っ人に駆け付けたホープ会軍団の両陣営が対峙する。   
 一方、康介は時間に遅れてデイレクター、大友のラジオ番組、「アマチュア・フォーク歌手コンテスト」の収録現場にやって来る。ギターをなくしたため、急遽大友のギターを借りて出演。マイクの前でギター片手に、「イムジン河」を歌い始める。 
 ♪イムジン河水清く とうとうと流れる♪ ♪誰が祖国を二つに分けてしまったの♪ ♪帰りたくても帰れない♪  
 そして終に両岸の数十人の集団が鴨川の川の中に入り、中央の三角州で激突する。バット、角材を手に双方の集団が入り乱れて大乱闘が始まった。病院に辿り着いた桃子は陣痛が始まり、ベッドで横になり看護婦に囲まれ出産準備へ。空手部員とホープ会の猛者相手に素手で戦うアンソン。劣勢になるが、得意のパッチギ=頭突きで反撃する。そこへナース姿のガンジャが飛び込んで来て、伝える。   
 「アンソン、もうすぐ生まれるで」   
 それを聞くと、乱闘現場から病院へ向けて駆け出すアンソン。病院に着くと、桃子は無事男の子を出産。看護婦のガンジャと病院に駆け付けて来たモトキたち友人にも祝福される父となったアンソン。   
 ラジオで康介の「イムジン河」を聴いたキョンジャは、自転車に乗りラジオ局へ走る。康介が番組の収録を終え外に出ると、そこにはキョンジャが立っていた。康介はゆっくりとキョンジャの方へ歩み寄り、やがて二人は一緒に歩き始めるのであった。   
 ラスト・シーンは、名曲「あの素晴らしい愛をもう一度」のBGMとエンデイング・クレジットが流れる中、登場人物のそれぞれの人生が映し出される。父になったアンソンはその後、桃子と幼い子供を連れて電車に乗り船に乗り、北へ帰る。モトキは朝鮮高校を卒業し、朝鮮大学へ入学する。看護婦のガンジャは入院患者のセクハラにも負けず、相変わらず病院で元気に働く。友人の吉田は、ヘルメットを被り角材を手に学生運動に参加する。ギターの師、坂崎はその後、アメリカを放浪し帰国、ヒッピーとなりラブ・アンド・ピースの道を進む。そして康介はキョンジャを中古の車に乗せて、鴨川沿いの道をドライブするのだった。以上、大円団のハッピー・エンド!パチパチパチ~!   

             (了)   

ー写真カットは、本作クライマックス・シーン、夜の鴨川の出町の三角州で朝鮮高校グループと東高校空手部員ら両陣営数
十人が大乱闘を繰り広げるシーン。











   
 























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二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

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