「NOON裁判」弁護団、かく戦えり (2)

2014/12/2  ”「NOON裁判」シリーズ ”   
ー(A):具体的には憲法21条1項の「表現の自由」(4)にあって、クラブの経営者、プロデユースし、企画・演出する人が行う表現活動があり、これを「風営法」で規制するのは過大な制約である。クラブの情報発信は一方向ではなくて、出演するアーテイスト、クラブ経営者、両者を仲介するオルガナイザー、企画者、プロデユーサーもいる。さらに来店するお客さん、また音楽以外のアート、イベント・スペースとしても活用したり、複合的にアーテイストが作品を展示するイベントも定期的に行っています。 
 我々弁護団が主張したのは、クラブがさまざまな芸術表現を皆でやり取りし、情報交換する拠点であると。言うなれば、クラブは一種のメデイアとも言える存在であり、情報を発信し、同時に情報を知る場所であり、表現の自由の保障が及ぶ場所である。これに一片の配慮もなくクラブに営業規制をかける「風営法」は、表現の自由を保障した憲法21条に反する憲法違反であるというのが一点。   
 もう一つは、憲法22条1項の「営業の自由」(5)があり、他人の迷惑にならない範井内で認められている。ではそれがどんな規制でどんな目的なのか、それは最高裁の判断によってそれぞれ理由がある。ところが「風営法」の「ダンス規制」は、過去の最高裁の判例による限度を越えてしまった。この点でも違憲である。   
ー(Q):つまり「始まりに規制ありき」ということですか?   
ー(A):「営業の自由」についてはその通りですが、合理的な目的があって、その目的を達成するために合理的な手段であれば、規制が許されるという点では間違っていない。ではその目的とは何か?仮にその目的が合理的であるとして、その目的を達成するために意味のある規制手段になっていますかという規制手段の関連性の問題になって来るわけです。そういう検討をしなければならないというのが、最高裁の考え方です。   
 それでは「風営法」の「ダンス規制」の目的は何かと言うと、どういう行為を取り締まる目的で合理性があるのかという問題が一つ。ここで我々が主張したのは、「性風俗秩序でしょ」と。「性風俗秩序が過度に乱れるのを抑止するため、最低限認められる目的ですよね」と。なぜならば、「風営法」が定められた昭和23年当時がそうだったからです。ダンスホールで待機していた女性のダンサーがダンスの合い間に売春の交渉をしているのではないのかと、そういう風な見立てからダンスホールの営業規制はスタートした歴史的経緯があります。つまりこれは性風俗秩序のコントロールです。   
 これに対して捜査機関側は性風俗、売春、女性への性的搾取だけではないですよ、「風営法」はもっと広く風俗全般を取り締まるものだと、夜の町の大衆文化全般を取り締まるものだと、彼らは言ってるわけです。夜中に酒を飲んで開放的になって騒ぐ、男女が密着してダンスを踊ることで性秩序が乱れる、ドラッグの乱用、酔って大声を出したり暴れたり、迷惑行為が多発する。本来眠るべき夜間、町の秩序が乱れる、だから規制するというのが、彼ら捜査機関側の主張です。  
 ここで、「ダンス規制」の目的とは一体何ぞや!?というその理解において対立があるわけです。今回の地裁判決は、性秩序の乱れ、ドラッグの規制、騒音規制とも本件は関係ありませんというものでした。   
ー(Q):質問が前後しますが、この春、4月25日に大阪地裁が下した「NOON裁判」一審無罪判決の歴史的意義についてお聞きします。   
ー(A):我々弁護団が憲法の観点から主張したことに対して、裁判所が正面から受け止めた点にあります。本件において
、「構成要件無罪」という犯罪成立の要件が整っていない、証拠が認められないという趣旨の判決です。つまり「風営法」は合憲であるが、「風営法」が規制する無許可営業罪が成立するかどうかというと、これは認められない。よって無罪である。逆に言えば、憲法判断の必要性は必ずしもないわけです。憲法判断をしなくても出せる判決であるということです。大阪地裁、裁判所としても憲法判断をしなくても出来るんだ、憲法判断はしませんという立場が不文律としてあったと言われています。   
 我々弁護団としては、一審公判で真正面から憲法判断へ踏み込んだ。私はこの点で意義があったと思います。加えて言うならば、裁判所が憲法21条の「表現の自由」にも言及した点でも非常に意義があったと考えます。こういった風俗営業の形式犯、「風営法」の許可を取っているか取っていないかという点では、許可を取っていないのは明らかなわけで・・・ 
ー(Q):私が取材した時も金光さん自身、「NOON」は「風営法」の許可を取っていないと言われていました。いろんな制約があって取れないと直接聞きました。   
ー(A):「NOON」が「風営法」の許可を取っていないのは明らかなわけで、だから法律を形式的、表面的に受け取れば、「NOON」が有罪となってもおかしくない。だけど裁判所は、我々弁護団の問題提起に真正面から真剣に答えて頂いた。そもそも
「風営法」の規制目的とは何か、あるべき規制手段はどういうものであるべきか、真摯に真正面から検討してこられたという点で非常に意義があった。その結果、一審が無罪判決となったわけです。   
 我々が裁判の現場で刑事事件を扱っていると、そもそも憲法論に触れるということ自体、稀有なことです。加えてクラブ営業というのは、営利活動の問題であって、直接表現活動を規制しているわけではないんだ、とも言いうるわけです。だとすると表現の自由という問題は、我々弁護団としても無視しようとすれば出来たわけですが、敢えてこの問題について正面から答えようとした次第です。   
ー(ここで水谷主任弁護人から「NOON裁判」の各資料、報告書、プレス用データを受け取る)   
ー(Q):この後、「表現の自由」とクラブというメデイアの話から私の専門分野である美学とメデイア論、持論の「ダンス論」に話題が及ぶが、長くなるので割愛する。   

ー以下、大弁護団による「NOON裁判」二審公判の戦いは第3弾へ続く。   

<脚注>   
ー(4):表現の自由:「日本国憲法第21条1項:1.集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障す   る。」国家が個人に保障する基本的人権の一つ。報道・出版などの表現活動は、検問など国家権力による規制から開放
  されるべきとする。   
ー(5):営業の自由:「日本国憲法第22条1項:1.何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を  有する。」









































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■ Comment

No title

こんばんは
興味深く、読ませて頂いています

浅学な身として、コメントをするには
なかなかハードルが高くキーボードを叩くに至っていません(>_<)

2014年も残り僅かですが
健康に留意して、走りぬきましょう。

あ・うんかな(笑)

 早速のコメント、ありがとうございます。一応もの書きの端くれ故、
成りゆきで現在固いテーマですが、また趣味の音楽、映画、旅の話題
をアップします。 
 やはり年を取ると、健康が第一(笑)またいつでもお気軽にコメントを。
ご主人によろしく。
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プロフィール

二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

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