「NOON裁判」弁護団、かく戦えり (3)

2014/12/4  ”「NOON裁判」シリーズ ”   
ー(Q):次に、「NOON裁判」二審公判についてお聞きします。2014年4月25日に一審無罪判決があり、その後5月7日、検察がこれを不服として大阪高裁に控訴しました。なぜ検察は、10月1日の二審第1回控訴審に至るまで半年近くかかったのでしょうか?   
ー(A):検察官が控訴趣意書を出して来たのが7月の半ばで、それに対する答弁書を我々弁護団が提出したのが9月末でした。我々が9月末に答弁書を出したから、スケジュール的に10月15日の二審第1回公判となったわけです。実際、検察が趣意書を提出するのに2ヶ月かかっているので、我々にも2ヶ月の時間を下さいと言い、その結果、裁判所が10月15日の第1回控訴審としたのが実情です。  
ー(Q):私も連休明けの5月以後、一、二度大阪高裁の広報に問い合わせをしましたが、いずれも公判の日程は未定との返事でした。二審控訴審までこんなに時間がかかるものなのでしょうか?   
ー(A):事案によります。今回の場合は、法令適用の誤りということで検察が控訴して来ましたから、我々としても法律の問題でもあり、法律学者の方にも準備をお願いしました。裁判法令を改めて調べ直す必要もあって、それで9月30日までということを裁判所に申し入れて了承を得ました。  
ー(Q):現在のスピード結審の時代、そんなに半年近くも時間がかかるわけですか?  
ー(A):だから検察官が殊更に時間を引き伸ばしたわけではないということです。控訴自体は我々が書面で書いた通り、我々弁護団がきっちりと反論するためにも十分な時間が必要だということで申し入れを行い、9月30日まで答弁書の準備期間がほしいと申し入れをした次第です。   
ー(Q):それでは検察側の二審公判の論点と「NOON裁判」弁護団の戦略についてお聞きします。  
ー(A):検察の論点としては、原判決が「風営法」の「ダンス営業規制」に対する解釈がおかしいと言っており、規制目的である性風俗秩序のコントロールに限定したのが法律上の誤解だと言っています。もう一つは、規制営業対象とは何ぞやということについての原判決の定義は実際の営業実態に即して判断せよと、検察は言ってるわけです。  
 検察官としては、事前に営業してもいいかどうかを判断する許可制について、実際の営業実態を見なければ許可が必要かどうか判断出来ないというのであれば、それは論理矛盾ではないのかというのが検察の主張です。  
ー(Q):専門用語が出て来て、私としては理解しがたいのですが。   
ー(A):要するに検察官は規制目的については、性風俗秩序のコントロールだけではないですよ、薬物、騒音、迷惑行為とかそういうものを広く取り締まるのが「風営法」の「ダンス営業規制」の目的であり、原判決は絞り過ぎですと言ってるわけです。そうやってギュッと絞ると、絞った余りの部分が野放しになってしまうと、彼ら検察は言いたいわけです。これが一つ。 
 二つ目は、目的がどうであれ規制対象営業、つまりその定義付けの問題があります。検察官はそれは法律に書いてある通りですと、「設備を設けて客にダンスをさせ、かつ客に飲食をさせる営業」は全部、都道府県の公安委員会の許可が必要であり、これは形式的に判断しなければならないと、検察官は主張するわけです。  
 原判決がそれに当てはまるのは当然であるけれど、単なる前提であって原判決が言ってるのは実際に都道府県の公安委員会の許可が必要な営業、実際に性風俗秩序を乱す恐れがあるような具体的なリスクのある営業に限定されると、本当に性風俗秩序を乱す営業なのかを見極めるためには、どんな営業をしているか全部見なければならないと、検察側は言ったわけです。   
 つまり検察は、実際に業者が営業を始める前に許可が必要かどうかの判断を100パーセントしておきたいと。原判決がおかしいと言うのは、営業が始まってから許可が必要かどうかを見るということになりはしないかと、こういう風に言ってるわけです。我々が危惧するのは、それはイチャモンだと言ってるわけです。   
ー(Q):10月15日の二審公判の際にも傍聴しましたが、検察側はたった一人の検事と対する弁護側は11名の弁護団と数で圧倒したわけですが(笑)、その時に検察が新証言について言っていましたが。  
ー(A):風俗営業の許可申請とか、検察としては取り締まり実態について証言させたいということです。それに対して裁判所は却下と決めました。  
ー(Q):当日、裁判の際も、確か弁護団の中の一人の弁護人の方が強く抗議されていました。  
ー(A):今日の時点で却下です。   
ー(Q):ということは、次回公判は早く終わるわけですね。ここで時間が残り少なくなりましたので、一部重複しますが、半年近くにわたった「NOON裁判」一審公判について改めてお聞きしたいと思います。今年4月25日の無罪判決を振り返り、弁護団がどのようにして戦ったのか、「風営法」のいかなる問題が裁判で議論されたのか、もう一度一般の読者の方にも分かりやすく日常の言葉で解説して頂きたいと思います。   
ー(A):一つは「風営法」が時代遅れの法律であり、刑事裁判の具体的な目標という点からも、金光氏は性風俗秩序を乱すようなクラブ営業はしていなかったという点が、第一にあります。もう一つは、「風営法」の「ダンス営業規制」の問題・・
ー(Q):いわゆる3号規制ですか。  
ー(A):はい、憲法に照らし合わせてもおかしい。目的と規制手段が嚙み合っていない。それからもう一つ。これは刑事事件であり、刑罰を与える手続きだから、憲法31条の問題もあるわけです。憲法31条とは、「罪形法定主義」(6)という言葉を聞かれたことがあると思いますが、罪に当たる行為というのは、予め明確に誰にでも分かるように定めておかなければならない。そうでないと取り締まる側の解釈であなたの行為は罪に当たると言われても、どんな罪に当たるのか、今自分が罪に当たる行為をしているのかどうか分からないわけです。   
 ダンスをさせる営業についても、あらゆるダンスが規制の対象になるとは考えられない。そうすると、どういうダンスをさせると適法でどういうダンスだったら違法になるのか、誰でもはっきりと法令を読んだら分かるようでないと駄目なわけです。ところが、適法なのか違法なのか判断出来ないような法律の定め方で人を罪に問うのは憲法31条違反であると、我々は言ってるわけです。   
 金光氏は性風俗秩序を乱すようなクラブ営業はしていませんでしたということ、「風営法」の3号規制は憲法に照らしても違憲であるというこの2点を二審での控訴審も含めて、我々弁護団が一貫して訴え続けて来たことです。  
ー(Q):はい、よく分かりました。改めて「風営法」の問題点と合わせて、私にも理解出来ました。ここで丁度時間になりましたので、本日はどうもありがとうございました!

      *       *       *   

 以上、昨年2013年10月1日に開始された「NOON裁判」一審第1回公判を経て、今年4月25日、大阪地裁が下した無罪判決、そして10月15日、大阪高裁で始まった「NOON裁判」二審第1回控訴審、11月21日第2回控訴審に至り、これで「NOON裁判」はすべて終了しました。   
 公判判決は、来年2015年1月21日(水)午後2時の予定。一審無罪判決に続き、再びダンスの女神は微笑むか!?判決のその日、金光正年氏、弁護団の先生方、日本中の支持者の方々と共に私は、歴史的瞬間のその時を見届けたいと願う。   

<脚注>   
ー(6):罪形法定主義:「罪形法定主義」とは、日本国憲法第31条の条文、「何人も、法律の定める手続きによらなければ、
  その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない」による。ある行為を犯罪として処罰するためには、
  立法府が制定する法令において、犯罪とされる行為の内容、及びそれに対して科される刑罰を予め、明確に規定してお
  かなければならないとする近代刑法の原則のことをいう。
























































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二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

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