幸福の黄色いハンカチ (4)


2015/5/26  ”名作映画シリーズ ”
ーかくして勇作(高倉 健)は欽也(武田鉄也)が運転する赤のファミリアに乗り込み、勇作、欽也、朱美(桃井かおり)の3人の旅が再び続く。後部席の勇作は、自らの生い立ち、仕事、夕張、そして妻の光枝(倍賞千恵子)について訥々と語り始める。
 本作終盤のテーマは、1970年代当時の炭鉱の町、夕張を舞台にした炭鉱夫の勇作と妻、光枝の夫婦愛が中心となる。回想シーン、夕張のスーパーで働く光枝を勇作が見初めるシーンへフラシュ・バックする。半年後、やっと光枝と口を利くようになった勇作。
 その後、勇作は光枝をデートに誘い、二人でレストランで食事をする。無器用な男、勇作の光枝への一途な純愛シーンが描かれる。やがて二人は結ばれ所帯を持ち、光枝は家庭に勇作は炭鉱で働くことになる。  
 翌年、光枝が妊娠する。喜ぶ勇作。しかし過労が祟り、光枝は流産する。そして勇作は、医師から光枝が以前にも流産していたことを知らされる。その夜、家で酒を飲みながら光枝を問い詰める勇作。
 「俺は隠し事をする女は嫌いだ!」
 光枝と言い争いになり、家を飛び出した勇作。一人夜の夕張の繁華街を歩き続ける。ネオン街の店からほろ酔い気分で出て来た若い男とぶつかり、口論となり喧嘩を始める勇作。連れのもう一人の男が加わり、二人掛かりで勇作を殴り付ける。しかしその一人に猛然と反撃し、勇作は男の首を摑みコンクリートの角に何度も叩き付ける。ぐったりとする男。連れの男はそれを見ると、逃げ出す。  
 回想シーンが続く。殺人罪で服役中の勇作が、刑務所の面会室で光枝と会う。勇作が送り付けた離婚届書を手に俯いて無言の妻、光枝に囚人服の勇作が告げる。
 「俺の気持ちは変わらん。おまえはまだ若いし、他にもっといい男がいるかもしれん。いい男を見つけて結婚して、幸せになれ」顔を上げ、頬に涙を流しながら、光枝が訴える。「あんたって、本当に勝手な人だね。一緒になる時も別れる時も・・」後は言葉にならず、ハンカチで口を抑え、嗚咽する光枝。それからしばらくして、勇作の元に判子を押した離婚届けと手紙が送られて来る。
 やがて6年の刑期を終え、勇作は網走刑務所を出所する。その日、勇作は別れた妻の光枝に郵便局から葉書を出していた。「これから夕張へ向かう。もしまだ一人暮らしでおまえが俺を待っていてくれるなら、家の棹に黄色いハンカチをぶら下げておいてくれ」「それが合図だ。もしそれが下がってなかったら、俺はそのまま引き返して二度と夕張には現われない」
 妻、光枝への想いが断ち切れない勇作は途中で気弱になるが、やはり夕張へ行くことを決意する。欽也と朱美も賛同し、3人が乗ったファミリアは一路炭鉱の町、夕張を目指す。しかしまたも弱気になった勇作は、「引き帰そう」と言い出す。欽也が運転するファミリアは一旦は引き返すが、朱美に説得され、もう一度夕張へ。
 見慣れた夕張の町並みを走る3人を乗せた赤のファミリア。線路を越え、スーパーを過ぎ、橋を通り過ぎる。踏み切りを超えたファミリア。勇作は終に我慢が出来ず、後部席で目を閉じる。そのまま後部席から家への道順を告げる勇作。助手席でナビゲーターになって、走行ルートを勇作に伝える朱美。炭鉱町のボタ山と長屋の家並みが見えて来る。風呂屋の前で車を停め車から降りて、周囲を見回す欽也と朱美。
 欽也が遠方の高い棹を見ると、黄色いハンカチが風にはためいていた。
 「ほら、あれ!」と叫ぶ朱美。「よかった~、よかった~!」と肩を抱き合って喜ぶ欽也と朱美。欽也が車の中の勇作にそれを伝える。風に靡く数十枚の黄色いハンカチをじっと見詰める勇作。 
 ラスト・シーンは、ボストン・バッグを抱えた勇作が欽也と朱美に背中を押され、光枝が待つ長屋の家に向け歩き出す場面。6年振りの家路を急ぐ勇作、家の前で洗濯物を干す光枝と目が合い、しばし立ち止まる。静かに勇作を見詰める光枝。ゆっくりと光枝の方に歩み寄る勇作。
 山田洋次監督は、このラスト・シーンを敢えてロング・ショットのカメラ・ワークで淡々と描写する。数メートル離れて立つ勇作、夫を待ち続けた妻の光枝。青い空をバックにいくつもの黄色いハンカチが風にはためく。やがて二人は互いに歩み寄る。光枝は勇作のバッグを手に取る。勇作は、なぜか照れたように青空を仰ぎ見る。バッグを抱えて、泣き崩れる光枝。その肩を優しく抱き、家の中へ入る二人。日本映画史に残る名シーンなり!パチパチパチ~  

                     
                 (了)

ー写真カットは、ラスト・シーン、幸福の黄色いハンカチがはためく家の前で見詰め合う勇作と妻の光枝。



























スポンサーサイト

■ Comment

気持ちが高揚しちゃってます!

ちゃんと書き込めていたらいいんですが大丈夫でしょうか?はじめての書き込みなので少し心配です(汗)

あの…二階堂 新さんの言葉にすごく引き込まれました、私は伝える作業が下手なもので心底羨ましいです!
自然と好きだなと思いました。

本屋さんでたまたま手にとった本がヒットだった時のような感じというのか(上手く言えずすみません)
いまは幸運から見放されてしまっているかのように、泥沼にハマり込んで抜け出せない感じが続いてしまっていて…。

だけどそんな今だからここに来れたのかもしれないで
す。
もし、もし良かったら私の悩み少し聞いてもらえないですか?

Re: 気持ちが高揚しちゃってます!

 ありがとう。本日、中断していたブログを再開しました。高倉健主演、
山田洋次監督の映画「幸福の黄色いハンカチ」は、やはり名作ですね。
東映の任侠映画に行き詰まっていた高倉健がそのイメージを脱し、名優
として開眼した作品でもあります。
 
 私の経験上、逆境の時こそが次なる飛躍とチャンスの時。腐らず焦ら
ず、学びながら人との出会いと次の運気に備えることです。
 小生、売れない小説家(笑)兼フリーライター、企画主催者でもあり
ます。Twitterもやっていますので、よろしければブログ画面右端のリ
ンクからどうぞ(笑)
非公開コメント

プロフィール

二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
二階堂 新 賢者は、かく語りき
最新記事
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる