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復讐するは神に非ず、人なり

2015/8/6  ”時事評論シリーズ ”
ー7月29付の海外ニュースによると、アフガニスタン政府は29日、反政府武装勢力タリバンの最高指導者、ムハンマド・オマル師が2013年4月に隣国パキスタンで死亡していたことを明らかにした。ロイター通信が報じた。
 オマル師は、米軍主導による2001年10月に始まったアフガン戦争以降、その動静が分からなくなり、度々死亡説が流された。米ホワイトハウスは、オマル師の死亡について「信頼できる情報」とし、またアフガン大統領府は声明で、「信頼できる情報に基づいて」その死亡を確認したと明かした。   
今後、水面下で行われる和平交渉や後継者問題をめぐり、タリバン内部で分裂と亀裂が深まる可能性がある。

       *       *       *   

 タリバンとは、アラビア語で「学生」を意味する「ターリブ」の複数形であり、イスラム神学校出身の神学生によって構成される。タリバン側の主張によると、旧ソ連によるアフガニスタン侵攻(1979年~1988年)後の長年にわたる内戦の中、ムハンマド・オマルが20人の同志と共にイスラム教に基づく治安と秩序の回復のため蜂起したのが、その起源とされる。  
 1994年頃から台頭し始めたタリバンは、イスラム神学校の学生たちが中心となり勢力を広げ秩序を回復し、住民たちもタリバンを支持した。しかしその後、タリバンはイスラム教による極端に厳格な戒律を強制したため、住民たちの心は離反していく。さらに多くはパシュトン人からなるタリバンは、アフガンの他の少数民族を弾圧・虐殺した。   
 1996年9月、タリバンは首都カブールを制圧し、その後、「アフガニスタン・イスラム首長国」を建国するが、国際的にはパキスタン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の3ヶ国しか承認しなかった。  
 1996年、タリバン政権はオサマ・ビン・ラディンとアルカイダ幹部のアフガン滞在を許可した。米国のビル・クリントン大統領は反米テロの黒幕であるアルカイダ幹部を引き渡すように要求したが、タリバンはこれを拒否。やがてタリバンは国際的、経済的に孤立するが、以後も国内では勢力を拡大し続けた。  
 2001年9月11日、米国同時多発テロ事件が起きる。米国は、テロ容疑者としてオサマ・ビン・ラディンとアルカイダ関係者の引き渡しを要求。しかしタリバン政権はこれを拒否したため、2001年10月、ブッシュ・ジュニア大統領は「不朽の自由作戦」の軍事作戦の下、米軍と有志連合諸国及び北部同盟と共に軍事行動を開始した。米軍による圧倒的な軍事力により戦闘は2ヶ月程で終結し、タリバン政権は消滅した。   
 2002年6月、カブールにおいて会議が開催され、ハミード・カルザイを大統領とするアフガニスタン・イスラム移行政府が成立した。その後2004年10月、アフガン全土で大統領選が行われ、カルザイが初代大統領に選出される。同年12月、カルザイ大統領が就任し、アフガニスタン・イスラム共和国が正式に成立した。しかし2005年以後、タリバンを中心とする武装勢力が各地で蜂起し、米英軍と交戦を繰り返す。以後自爆テロが頻繁に起こり、アフガンの治安は急速に悪化した。  
 2009年1月、就任直後のバラク・オバマ大統領は、アフガンへの米軍増派を発表する。以後オバマ大統領は、3万人規模の米軍の追加派兵に踏み切る。   
 2011年5月1日深夜(米国時間)、オバマ大統領は、パキスタンのアボッタバードの邸宅に潜伏中のオサマ・ビン・ラディンを米軍特殊部隊Navy Sealsの隊員が殺害したと、ホワイトハウスから全米に向け公表した。  
 そして2015年夏、ムハンマド・オマル師が2年前の2013年4月に死亡していたことが確認された。後継指導者はアフタル・マンスールとなるが、タリバン内でも内部分裂と権力闘争が続くものと見られる。   

 かくして旧ソ連によるアフガン侵攻、そして2001年秋以降、現在もアフガンに駐留し続ける米軍。アフガンは今も尚内戦と混迷にあり、アフガンの人々は無知と貧困とテロの脅威の中にある。今改めて「9・11テロ」後のアフガン史を振り返ってみると、現在、中東
全域を揺り動かす「イスラム国」誕生の雛形をそこに見出すことができる。   
 19世紀以来続いた大英帝国の植民地支配、1980年代の旧ソ連の軍事侵攻、そして2001年以降、今も続く米軍の駐留。その度に、各地で武装蜂起したイスラムのムジャヒデンたち、その後イスラム過激派組織の台頭、さらなる欧米列強による軍事介入、そして依然と人々は前近代的な無知と無教育と貧困に留まる。  
 イスラム過激派アルカイダの影響を受けたオマル師の教義も、また「イスラム国」のエセ預言者、バクダディ師なる人物が説く「カリフ制」によるイスラム国家建設も本来のイスラムの教えから逸脱する。さらに言えば、「9・11テロ」以後、中東全域において14年近くにわたり「対テロ戦争」を続けるアメリカが主張するキリスト教vsイスラム教の宗教戦争にしてはならない。神々が復讐の戦いをするのではなく、常に地上において人が戦争を繰り返すのである。   
 近代以後の大英帝国による軍事支配、「9・11テロ」後の米軍による軍事行動によるのではなく、今後何年、何十年、百年かかろうとも、中東のイスラム諸国において貧困と無知とテロの連鎖をなくし、人々による民主化と本来のイスラムの大義による国家建設を我々は手助けする必要があるだろう。合掌






























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二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

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