FC2ブログ

地獄の黙示録 (3)


2018/2/8  ”名作映画”  
ー本作の後半シーンで、若き日の名優デニス・ホッパーが戦場カメラマン役で出演している。ジャングル奥地にあるカーツ大佐の王国に辿り着いたウィラードに首から何台もカメラをぶら下げたデニス・ホッパー演じるカメラマンの男が駆け寄って来る。映画の役の上だけかと思っていたが、多彩な才能を持つホッパーは写真家としても有名であることを後に私は知った。  
 1989年秋の頃だったか、デニス・ホッパーの写真展が京都の法然院で開催され、雨の中私は駆け付けた。境内と会場には大勢の観客が溢れ、モノクローム作品も含めた彼の写真作品はプロ並みの腕前であった。その前後、京都市内の名画館のステージに来日したデニス・ホッパー本人が4番目の妻の新婦と登場し、舞台挨拶を行った。舞台の両端から現われた二人は、京都のファンの前で小コントまで演じて魅せてくれた。「アイ・ラヴ・ユー!」と新妻のキャサリン。「アイ・ラヴ・ユー・トゥー!」と53歳のデニス・ホッパーが透かさず答える。  

 また話が脱線した(笑)本作ストーリーに戻る。ウィラード一行の旅は続く。2001年に公開された本作特別完全版では、劇場公開版(1980年)から削除された53分の未公開映像シーンが二箇所追加されている。  
 台風のため川沿いの基地に不時着したヘリの機内で3人のプレイメイトと愛情を交わす哨戒艇の3人の若い乗組員。前線の米兵の性欲処理係にされる彼女たちの告白と戦場の真実を彼らは知る。本場アメリカの「PLAYBOY 」のセンターグラビアに毎月登場するプレイメイト。日本流に言えば、グラビアアイドルか。でも3人共プロポーションは良いが、演技力は下手(笑)  
 もう一つは、フランス人入植者とウィラードが彼らと会席で交流するシーン。川沿いの農園では武装した兵士たちが土地を守り、フランス人農園主とその家族、使用人らが定住していた。そのフランス人入植者をして劇場公開版とは異なる強い口調でアメリカの欺瞞とベトナム戦争の功罪を痛烈に批判する場面が出て来る。  
 そして生き残った3人の一行は、遂にカンボジア領内のジャングル奥地に築かれたカーツ大佐の王国へ辿り着く。土着の原住民の如く半裸で前身を白く塗った傭兵らがカヌーに立ち、ウィラードたちを迎える。そのカヌー群団の中を突き進むウィラードの小型哨戒艇。川岸に着くと、首から何台ものカメラをぶら下げた報道写真家の男(デニス・ホッパー)が近付いて来る。そのカメラマンの男は王国の中を案内し、ウィラードに彼らの主、カーツ大佐と面会させる。  
 軍人として輝かしい数々の経歴を持つカーツ大佐と実際に会って、彼のカリスマ性に一瞬引かれるウィラード。カーツ暗殺を躊躇する程だったが、カーツ大佐によって尋問され、木の檻の中に監禁されてしまう。やがて拘束から開放され、体力も回復した頃、水牛が生贄にされる儀式のその夜、ウィラードはカーツ暗殺を決行する。音もなく背後から忍び寄り、警護の兵士を倒す。そして大鉈を手に王国の主、カーツ大佐を斬殺する。その映像はかくも美しいシルエットで象徴的に表現され、原住民によって大鉈で水牛が無残に斬殺されるシーンとオーバーラップされる。  
 主を失った王国の私兵と傭兵たち。その軍団の中をゆっくりと進むウィラード。まるでモーセの前で紅海が裂けるかのように彼を避ける群衆。ある一人の兵士の前で立ち止まり、前任者のコルビー大尉だと確認すると、ウィラードは彼の手を取り再び歩き始める。任務を終えたウィラードと3人の兵士を乗せた哨戒艇は、静かにカーツ大佐亡きジャングルの王国を去るのだった。  
 最後に、臨終の間際のカーツ大佐の言葉が木霊する。  
 「地獄だ!地獄の恐怖だ!」    
                    
             (了)   

ー写真カットは、水牛が生贄にされる祭りの夜、遂にカーツ大佐の暗殺を決行するウィラード。川面に浮かぶ特殊部隊要員と化したウィラードの本作シーンより。  

 
スポンサーサイト



■ Comment

非公開コメント

プロフィール

二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
二階堂 新 賢者は、かく語りき
最新記事
カレンダー
08 | 2020/09 | 10
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる