候補者ビル・マッケイ  (3)

 アメリカは、共和党と民主党の二大政党による大統領制の国家である。下院、上院、そして4年に一度の大統領選を通じて、民主、共和の二つの政党の候補者が戦う。それは、「パワー・ゲーム」であり、莫大な選挙資金が動く「マネー・ゲーム」でもある。1980年秋、私は米国大学留学中、ジミー・カーター大統領とロナルド・レーガンカリフォルニア州知事との大統領選を、地元のテレビ番組と選挙人による立ち合い演説会で直接目撃した。そしてジミー・カーターは敗れ、レーガン候補が勝利。それから、アメリカは変化した。   
 本作映画に話題をもどす。かくして波に乗ったマッケイ候補は、後援会、集会、街頭演説で彼の主張を訴え続ける。遊説で各地を飛び回る車の中で、突然ひとり言をつぶやくビル。遅れて駆け付けた報道番組のスタジオでビル
の挙動が変化し、何度も撮り直すシーンに、本作品の政治に対する辛辣な批評眼がある。   
 選挙戦の仕上げは、オープン・カーで妻と共に目抜き通りをパレードするマッケイ候補。紙吹雪が舞い、握手を
求める群衆、テレビ局の記者がインタビューをする。投票日の前日、若いボランテイア・スタッフを前に最後の檄
を飛ばすマービン。   
 そして、いよいよ投票日。雨の当日、最後の最後まで白熱のデッド・ヒート戦を繰り広げる両陣営の運動員たち。テレビ番組は、ショーのように有名な政治学博士に勝敗を占わせ、投票中も続々と選挙速報を流す。かくして
その結果はー。開票直後にテレビ局のコンピューターは、ジャーモン有利を覆し、マッケイ候補当確を発表する。
 スタッフと共に待機していたホテルの部屋を出ると、廊下で大勢の支持者にもみくちゃにされるビル。やっとマ
ービンをつかまえると、ビルが言った。「話がある」「今か」「今すぐだ」人目を避け、二人は厨房の配膳コーナーへ。「何の話だね、議員先生」「分からん」   
 ボーイにそこを追い出され、スタッフが詰める部屋に入る。マービンが言う。「もうすぐ、皆がやって来る」 
「マービン」「何だ」「どうすればいい?」それと同時にドアを開け、部屋になだれ込む支持者たち。ラスト・シーンは、そのドアをマービンが閉め、空虚に広がるホテルの室内のそのカットで終わる。   
ー次回、7/31「アメリカ特集」第3弾は、いよいよ真打ち、マイケル・ムーア監督の「華氏911」を取り上げる予定です。お楽しみに。





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二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

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