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華氏911  (5)

 かくしてイラクの戦場で、若い兵士たちが、次々と戦争について証言する。それは、まさに平時にはあり得ない
非現実の世界、戦場の戒め。フランシス・コッポラ監督の「地獄の黙示録」の作品中、ヘリでベトコンの村々を焼き払い、そのBGMはアメリカン・ロックのあのワン・シーンを彷彿とさせる。さらに衝撃的なシーン、元米兵の
武装警備員の黒こげになった死体、イラクのテロリストに人質となった日本人ジャーナリストらの映像シーンが挿入される。   
 戦場で兵士たちが戦う一方、アメリカ本国では、ブッシュ大統領とその閣僚らが暗躍し、戦争へと国民と世論を
誘導する。そのコントロールはメデイアにも及び、ほとんどのマスコミは、米政府によって飼い慣らされるに至った。「大量破壊兵器」の有無、ブッシュ政権による「テロの脅威」と「イラク侵略」、一連の戦争報道に警鐘を鳴らす、映画監督、作家としてのマイケル・ムーアの真骨頂がここにある。   
 そしてその「予言」通り、イラク武装勢力による決死の反撃が始まる。米軍の死者は増え、戦争は長期化し、やがて「第2のベトナム」へ。その危機感と不満は、イラクの米兵とアメリカ国内の市民の間に広がって行く。終盤
ムーアは、彼の故郷ミシガン州フリントを丹念に取材する。町の人々、失業者、若者、そして、イラクの戦場へ息子や娘を送った家族たちの姿を追う。   
 中でもイラク戦争で息子を失った、フリント在住の秘書の中年女性を密着取材する。ある日、ワシントン取材中
のムーアに連絡が入り、彼女がやって来るという。ここでムーアは、映像作家として、個人のストーリーをドキュメンタリー映像で表現しようと試みる。中年女性のライラは、ホワイトハウス前で嗚咽し、言葉を詰まらせ、涙を
押さえ、その主に訴える。  
 「愛する家族を失うことが、こんなに苦しいとは思わなかった」「でも、やっと見つけたわ。私のこの怒りをぶつける場所を」「息子を返して!」   
 ラスト・シーンは、ブッシュ大統領の下手なスピーチを取り上げ、曰く:「テキサスのことわざにある」「『私
をだましたら、恥を知れ!』と、二度とだまされない」   
 マイケル・ムーアが言い返す。「OK,僕もだまされない」最後に、「アフガンとイラク戦争で死亡した米兵と
、9・11テロ事件の犠牲者2973人にこの映画を捧げます」というクレジットが出る。   
ー次回の「名作映画」シリーズは、元キャンデイーズのスーちゃんこと、田中好子主演、原爆の被害に遭った女性
の半生を描いた名作「黒い雨」(今村昌平監督1989年)を取り上げます。明日8/8アップの予定です。








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二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

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