2001年宇宙の旅  (4)

 本作の原題は、「2001:a space odyssey]である。ご存知、ホメロスの叙事詩、英雄伝説の冒険物語「オ
デッセウス」から取られた題名。SF作品も書くもの書きとして私の私見であるが、SFのテーマは、常に現代的
かつ神話的世界を題材とする。ここで敢えて、キューブリック監督の意図と謎解きを試みるに、SF的近代科学と
旧約的神話世界の融合にあると、私は考える。   
 これも私の個人的見解だが、SFの映画監督、SF作家には、ユダヤ系の人物が多い。彼らは、「反権威主義者」「反西欧的合理主義者」で、キリスト教に批判的である。本作映画が日本人のSFファンに支持される理由の
一つでもあるが、欧米的最先端科学と共に、その背景にキューブリック監督流の「永遠の生命」「永劫回帰」、 
もっと言えば、仏教的な「輪廻転生」の世界観があると、私は推測するのだが。   
 本作のストーリーにもどろう。ボウマン船長とハルの通信会話。   
 「ハッチを開けろ!」「できません」「なぜだ」「私を抹殺しようとした」「では、非常用エアー・ロックを使
おう」「さよなら」   
 ハルの造反を知り、覚悟を決めると、ボウマンはプール飛行士の遺体をアームから外し、非常用入口から侵入を
試みる。彼は、緊急用の手動操作で切り抜ける。船内では3人の飛行士の生命維持装置は、停止されていた。それ
からボウマンは、電子頭脳室に入ると、その哀願を聞かず、航行に必要な機能だけを残して、ハルのすべてを切断
した。   
 デイスカバリー号は旅を続け、やがて木星に到達する。すると、またあの黒石板が宇宙空間に浮かぶ。ボウマン
は、宇宙艇で黒石板の方向へ進んで行く。突然彼は、超高速と極色彩の異次元の空間へと突入した。このシーンは、明らかに1960年代現代アートの影響を伺わせる。本作品の映画手法でもあるが、言葉、台詞を極力省き、
映像による「視覚体験」により訴えかける。   
 いつしかルイ16世王朝時代の室内の一室に。宇宙艇を降り、部屋を歩くボウマン。ドアの透き間から見ると、
テーブルに座っていたのは、年老いた自身であった。そして、食事中の老人がふとベッドを見ると、そこには臨終
を迎える自身の姿が。死の瞬間、三度あの黒石板が現れ、それに向かって彼が右手を上げると、奇跡が・・・。 
 老人の彼は、球体の中で胎児となり、「スター・チャイルド」としてよみがえる。再び、リヒャルト・シュトラ
ウス作曲「ツアラトウストラはかく語りき」が高らかに響き渡り、そのスター・チャイルドは、地球大となって宇宙に浮かぶのであった。    
ー尚、続編に「2010年宇宙の旅」があります。興味のある方は、一度調べてみて下さい。皆さんの楽しみを奪うつもりはありませんが、この続編、監督は全く別人です。以上、蛇足でした(笑)   
ー次回9/18は、SF名作映画第3弾、「ターミネーター1」をお届けします。お楽しみに。





  


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二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

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