サタデー・ナイト・フィーバー  (5)

 1980年9月、25歳のオレは米国大学に留学、秋学期が始まった。週末になると、寮の食堂で新入生歓迎パ
ーテイが開かれた。食堂がデイスコ会場に一変、学部卒業生、各国の留学生の男女が、着飾ってやって来た。オレ
も日本人の友人らと参加したが、アメリカ人のカップルはダンスがお上手。驚く程、男も女もメチャクチャうまい!我々日本人学生の一同は、壁のシミになってただ眺めるだけ(笑)その時、オレは悔しかった。なぜ日本人は
ダンスがうまく踊れず、アメリカ人の男女はかくもうまくダンスを踊れるのかを、オレはずっと考え続けた。 
 今回、本作映画を取り上げた理由もここにある。結論を先に言うと、結局ニッポンには根付かなかった「デイス
コ・ブーム」とは異なり、彼ら欧米人には、男女の間に「踊る文化」としてのダンスの伝統、キリスト教信仰に基づく「求愛の儀式」が脈々として継承され続けたことに尽きる。   
 本作ストーリーにもどろう。マンハッタンの新しいステファニーのアパートへ車で着くと、そこに中年男の姿が。唖然とするトニーは、車の中で彼女を問い詰める。「彼、今度高級アパートへ引っ越すの」「しばらく同居し
たわ」「でも、今はただの友人」とステファニーは、涙ながら訴える。その後二人は、ブルックリン橋の袂のベンチで和解する。   
 翌週トニーは、ペンキ店に無事復帰。ステファニーとスタジオで練習を再開。しかし彼女は、あの「女好き」の
スタジオ・オーナー、ピートと仲良く踊っていた。「君には、愛想が尽きた」とそのスタジオを飛び出すトニー。
 続いてトニーの硬派シーン。襲われた仲間の復讐のため、仲間数人で敵のアジトを急襲する。名誉の負傷までして、彼らは病院へ。ところが、当の本人がいわく、   
 「多分、相手を間違えたかもしれん」と一転、喜劇になる。「おまえのその片足も、へし折ってやりたいよ!」
とトニーが言い返す。そして、ついにコンテスト当日。トニーは上下白のスーツで登場、ステファニーとペアで参加する。観客が見守る中、二人は恋人同士のように踊り、魅せる。最後に、二人は口づけを交わす。   
 結果発表は、やはりトニー、ステファニー組の優勝。しかしトニーは、2位のラテンのペアが本当の優勝者だと
言い、彼らにトロフィーと賞金を渡してしまう。   
 「出来レースだ。地元の者を無理に勝たせたんだ。皆インチキだ!」と怒りを爆発させたトニーは、ステファニーの手を取り、会場を飛び出す。車の中でそのウサを晴らすべく、ステファニーに強く迫る。   
 「やめて!」トニーは、股間を蹴られ撃沈。ステファニーは、車から飛び出し走り去る。そこへやって来た悪友
の三人とアネット。走る車内で、トニーに復讐するかのように、アネットは仲間たちの女になる。それから彼らは、橋の上で狂態を演じてみせる。   
 仲間の中で気弱なボビーまで、橋の欄干を歩き、その蛮勇を彼らに誇示する。しかしそれは、彼が悩み抜いた末
の「抗議」でもあった。トニーら友人が押しとどめる最中、ボビーは足を滑らせ、川に転落する・・・  
 ニューヨーク市警の取調べに答え、車にもどる仲間を尻目に、トニーはひとり歩き去る。青春の傷心を胸に、深夜のNYの地下鉄を乗り継ぎ、歩き続けるトニー。ビージーズのBGMが、かくも優しく流れる。  
 ♪朝日の中で見る君の瞳、君がぼくから離れると、もう一度抱き寄せたくなる♪  
 ♪君のその愛を見せてくれないか、もう一度♪   
 白々と夜が明け、早朝のステファニーのアパートのドアをたたくと、  
 「昨夜は、すまなかった」「あの連中とは縁を切る」「ぼくも一人で暮らす。働く」「だから、君と本当の友達
になりたい」と彼女の許しを請うトニー。  
 「いいわ。お友達になりましょう」と言うと、ステファニーはゆっくりとその手を差し出す。ラストシーンは、
朝日が差し込むアパートの窓際で、身を寄せ、抱き合い、もう一度キスする二人のシルエットは、永遠の時を表わすように、そのシーンは静止して終わるー   
ー次回は、ダンス映画の名作、リチャード・ギア主演の「Shall We Dance?」をお届けします。10/22アップ
の予定です。お楽しみに。



















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二階堂 新

Author:二階堂 新
 1955年生まれ、京都在住。フリーライター、フリーカメラマン、作家、企画主催者。皆さん、ヨ・ロ・シ・ク!

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